第13話 出会い 一
僕は、大学に入学してから近くのアパートに下宿している。
ちなみに、掃除や洗濯など家事全般は僕は好きで、部屋も男子の割にはきれいにしている方だと思う。
…それはどうでもいい話だが、僕が戻った「過去」の部屋は、僕にとっては新鮮だった。
『そういえばこんな雑誌、こんな本、この頃読んでたなあ…。』
僕は政治の話もわりと好きな方で、そういったいわゆる「堅い系」の雑誌もよく読んでいる。
また、その頃読んでいた本は、サークル仲間に薦められたSF小説だ。
『ってか、僕が過去に戻ってきたということは、『過去の自分』とはち合わせすることはないのかな…。』
SFが好きな僕はそんなことも思ったが、その心配は杞憂に終わる。
僕はその日、自分の下宿先のアパートの一室に戻ったが、「過去の僕」が帰ってくるであろう時間になっても、「過去の僕」は現れなかった。
どうやら、この「過去の世界」に存在する僕は、「未来(現在)」の記憶を持った僕だけらしい。
そう考え、少し安心した僕は、とりあえずその日は寝ることにした。
ベッドの中にもぐりこんだ僕は、自分の中の「決意」を、再確認していた。
『10月4日、亜紀と逢っても、僕は絶対に話しかけない、話しかけない…!』
そう考えているうちに、僕は眠ってしまった。
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