第28話:秩父ミューズパークのイチョウ並木

 安田屋のわらじカツ丼を食べた樹、天宮、一条、朝比奈の四人は秩父ミューズパークに向かうため、バス停へと向かっていた。

 到着するのと同時に丁度バスが到着し乗車する。

 バス停から秩父ミューズパークまでは約三十分で着く。


 秩父の街並みを眺めながら、樹達四人は秩父ミューズパークへと到着した。

 この秩父ミューズパークにある旅立ちの丘は、夜景スポットとして有名である。この場所から秩父の夜景を一望できるのだ。


「いい景色ですね」

「そうだねまっしー!」


 ニコニコしている二人を後ろから見て樹と一条は微笑む。それはまるで、最愛の人を見るような愛おしそうな目で見ていた。

 樹と一条も二人の方に寄り、同じく景色を眺める。

 そこからの景色は最高で、秩父の街並みを一望することができた。


「夜景も見て見たいがまた今度になりそうだな」

「そうですね」

「今度は四人で夜景でも見に来ようか」

「いいね! 流石つっちーだよ♪」


 そんなこんなで四人は本来の目的である、イチョウ並木の方に移動することに。

 イチョウ並木に到着した四人はその光景に圧巻されていた。視界に広がる黄色の光景。

 通路の奥まで左右に立ち並ぶ紅葉したイチョウの木が四人を魅了した。


「綺麗、です……」

「全くだ。こんなにも綺麗に紅葉しているとは思わなかった」


 樹と天宮はその光景を眺めていた。そこに、朝比奈が樹と天宮にへと余計な一言を放った。


「まっしーにつっきー、写真撮ってあげるよ!」

「「……え?」」


 呆けた声が出て顔が紅く紅潮する樹と天宮の二人に、朝比奈はウィンクをするだけである。

 そして、天宮の耳元に口を近づけた朝比奈は小声で「嬉しいでしょ?」と言って、写真を撮ろうと二人の側を離れた。

 天宮は一段と顔を真っ赤に染めて声を荒げる。


「ち、違いますから!」

「天宮どうした?」

「え、あ、いえ、な、何でもありませんから! 結花さん早く撮って下さい!」

「お、おう」


 朝比奈が写真を撮ってくれるということで樹と天宮は並び撮ってもらうことにした。

 並び写真を撮るのだが……


「お二人さんもっとくっつかないと。撮れないよ~」

「もっとって……」

「そ、そうですよ……」

「もうっ! つっちーカメラ変わって」

「了解!」


 一条がカメラを構え、「撮るからね~」と言ってシャッターを押す瞬間、天宮が朝比奈によって軽くドンと肩を押された。押されて天宮は樹との距離がゼロとなった。その瞬間、パシャッというシャッター音が鳴り響いた。


 樹と天宮はそれどころではなかった。至近距離となり密着する二人は顔を真っ赤にしていた。


「つっちー、良い写真撮れた?」

「完璧だよ結花」

「お、お前ら!」

「結花さん!」


 二人は一条と朝比奈を怒鳴りつけた。


「私は悪くはな、ないよ?」

「俺は写真を撮っただけだから」


 どうやら悪いとは思っていないらしい。


「なら……」

「ああ……」

「「二人の写真を撮ってあげるよ(あげますよ)」」

「「……え?」」


 結局一条と朝比奈の二人も顔を真っ赤にするこになった。

 こうして四人は顔を赤くしながらも、イチョウ並木を歩くのであった。



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