第18話:少しビクってしただけのこと
日曜日は特にする事もなく翌日の月曜日。
樹はいつものように起きて学校に向かう。
「桐生さんおはようございます」
「天宮おはよう」
途中で天宮と会い学校に行くことに。
「それじゃ俺はここで。悪いが先に行ってくれ」
「分かってますよ。それではお先に」
途中で缶コーヒーを買って、飲みながら天宮の背中を見送る。
それから飲み終わった樹は学校に向かう。
教室に着いて席に座る。
その際天宮と目が合って、ありがとうございます、と視線でいっていた。なので樹も、気にするな、と目線で伝えた。
そこに一条と朝比奈が来た。
「おはよう樹」
「おはよう、つっきーにまっしー」
「ああ。二人ともおはよう」
「おはようございます朝比奈さん」
席に着いた朝比奈が一条に話しかけた。
「つっちー」
「どうした結花?」
「紅葉デートなんだけどさ~」
朝比奈が発した紅葉デートと言う言葉に、樹と天宮がビクッと反応した。
そんな樹と天宮に気づいた一条が声をかけた。
「どうした樹? 何かあったか?」
「い、いや……なんでもない。一瞬寒気がしただけだ」
対して朝比奈は天宮に尋ねた。
「どうしたのまっしー? 今ビクッてしたけど?」
「い、いえ。少しボーッしていていまして、物音に反応しただけですよ」
「そう?」
「はい」
「なら別にいいんどけど」
樹と天宮はホッと胸を撫で下ろした。
そんな樹と天宮を見て、一条と朝比奈は首を傾げるだけであった。
紅葉を見に行くのは十一月上旬だ。
それまでならチケットは有効みたいだった。
(予定を立てないとな……)
(予定を立てませんと……)
二人はそう思うのだった。
授業が終わり家に帰った樹は、自室に篭って予定を立てていた。
「行くのは十一月九日か十日のどちらかになっちゃうな」
この時期を過ぎると紅葉は綺麗に見えない。
ならこのどちらかに行くしかないのだ。
せっかく行くのだから、紅葉が綺麗な方が良いに決まってる。
それに秩父なら秩父鉄道が近くにあるので一本で行くことが出来るし、お互い家から駅までそんなに時間はかからないのが幸いだ。
今日は十月三十一日だ。行くまではまだ二週間はある。
「そんなに焦らなくても大丈夫かな。いや、メールでも送っておくか」
樹はそう呟き、天宮にメールをおくるのであった。
一方、天宮の方はというと──
「ど、どうしましょう。こ、これってで、でででデートですよね?!」
天宮は顔を赤くしテンパっていた。
初めての異性とのデートなのだ。緊張しない方がおかしいだろう。
赤い顔をしながらもその日の予定を考える。
「えっと、長瀞までは秩父鉄道で一本で行けますから……そこから、あ、あーもうっ! 分かりません!」
結局ダメな天宮であった。
ピロリッと天宮のスマホが鳴った。
「ひゃっ!?」
可愛らし悲鳴を上げた天宮はスマホを確認すると、樹からのメールであった。
「き、桐生しゃん?」
思いっきり噛んでいるのだが、それにすら気づかない天宮。恐る恐る樹からのメールの内容を確認する。
『こんな夜にすまん。
紅葉のことなんだけど、俺一人じゃ予定立てられないから時間がある時にでも一緒に立てたいと思う。
良かったら今週の土曜日とか空いてるか?』
読み終えた天宮は口をパクパクと鯉のようにさせて、
「ど、どうしましょう?! な、なんて返せば!」
樹とのメールは度々していたのだが、これはどう見ても──
「これってで、デートのお誘いですか?」
そう思ってしまうのも仕方がないことだ。
本人はそんな気はさらさらないだが。
「と、取り敢えず返信しないと」
天宮は何度も間違いながらも打ち込む。
「──これでよしっと! 送信!」
樹はスマホが鳴ったのを聞いて確認すると、天宮からであった。
「なになにえーっと……」
天宮からのメールを確認する。
『土曜日は空いています。それなら、また料理を教えながら予定を立てませんか?』
どうやら空いていたようで樹は安心する。
樹は『了解』と返信をして寝るのであった。
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