聖火が降り

第46話 亀裂

「割れてるような」

「いや割れてませんね『なにがどう割れてなかったですかね』」

　聞こえてない素振りをし「ただ、わかってるのはこれは枢密院の人間という」

　大体であるが、本当に？

「割れてませんね、錯覚かな」

「白痴は、伝染るんですか？『感染りはしません』」

　唐突にも。

「あぁ……達観が『そうです。世論なんか促しますが一向に駄目』」

「なるほど、『達すじまい』」

「そちらこそ隔絶の折に『いやいやそんな馬鹿な』」

「うん？礼儀正しいですね」

　……甲斐性か胸糞悪くなる話だ。そういうことなんだろう。

　この洞窟が一般の社会（コミュニティ）から隔絶されてるわけではなく……されてない。

「白痴云々ではないんではないすか『ご冗談を』」

「……先の発言が面目、どうやら諭されたいのか『僕が？』」

「えぇ、そう見えて仕方ありません」

　多分、素っ気なかったから。なにが悪いのか？

「心因です。白痴であろうと『後は、見栄？』」

　とにかくよく傾聴してもらったなとかような無駄な話を。

「あぁ……どうやらこの壁画に折衷、魂を見」

　だから割れてるのだ。

「さてと、どちらがウリウでしょう？『わかりません』」

「お題目ですが、それほど達観して下さい、先が思いやられます」

　視覚。無念。　

「まぁ、私は、天皇でなく枢密院の人間と睨みますが」

「懸念は……『ご自分で』」

　気怠くてしょうがなかった。

「あっ……私の足労はどうなるんでしょうか『問題ですね』」

　――休憩

「カタールは比翼にもありません。『そんな、どんな筋でも怒りのまま奇襲したとしか」

「思えません。『……根本的にカタールが起こしましたが』」

「懐妊だったら。『辻褄合わせでしょ、恋愛観は別物』」

「はいはい、楽しましたよ、『それよりもあの白痴の女性……』」

「目的地を『見えません』」

　そうは見えませんという。

「行きましょう」

　楽しくはない。