野暮とピアニスト

 「さて、と。風も冷たくなってきたことですし、そろそろお開きといたしましょうか」


 「そうですね」


 「ここで、連絡先の交換なんてしたら、野暮ですよね」


 「ピアニストが二人、ここは粋に別れましょう」


 「必然であれば、またいつか、お会いするでしょうしね」


 「そういうものなのでしょうか」


 「そういうものなのですよ」


 そうですね。その方がいい。

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