死の匂いは甘く香る

作者 もちづきもちこ

甘い香りを漂わせ、彼女が席を立つ。物語の温度が変わる。

  • ★★ Very Good!!

この物語は物悲しいモノローグから始まります。
その物悲しさは作中を通して一貫するものなのですが、木枯らしを眺める店内、身体を温めるホットココアにコーヒー、そして何より、微笑ましい彼らのやり取りが物悲しさを中和し、「生温い」温度へと印象を変えます。
しかし読み進めて行くにつれ、「生温さ」はさらに温度を下げてしまいます。それは、大切な人を悲しませまいとする人間の性、ともすれば強情な彼女の悲しいまでの強さによるものなのです。

木枯らしがやみ、緑が息づく季節が訪れたとき、彼が感じる香りはどのような甘さを持つでしょうか。

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