第3話

すみれと共に透真が出会ってから三週間ほど経っていた。


 透真はすみれと出会ったことを忘れかけていた。


 透真はアルバイト先のバーで開店の準備をしていた。店の外に出て仕事をしていると、透真の店から数十メートルくらい離れた所から、何やらもめている声が聞こえてきた。


「お姉さん今からどこ行くの? 」


「俺たちとどっか行かない?」


 など、二人の男が女に声をかけていた。


 女は迷惑そうな困ったような顔をして


「すみません。用事があるので。」


 と断っていたが、男たちは


「じゃあその場所まで送って行くよ。」


「車そこに停めてあるから、乗って行きなよ。」


 など言い、引き下がる様子も無く、女につきまとっていた。


 透真は面倒臭そうにため息をついた。


 トラブルに巻き込まれるのはゴメンだと思い、見なかったフリをして自分の仕事を済ませ、バーの中に入ろうとした時にふと男二人に絡まれている女を見た。


 最初に見た時にはわからなかったが、よく見ると男たちに絡まれている女はすみれだった。


 前に会った時はスカートをはいて、ふんわりとした女性らしい服装だったが、今日はきれいにアイロンがかけられた白いシャツに黒いパンツといったシンプルな服装だった。


 こんな所でナンパを目撃するなんて面倒だと思っていたが、ナンパされている女がすみれだと気がつくと、透真はとっさに声を出していた。


「ねーちゃん‼︎コッチ、コッチ。店わかりにくかったら電話してって言ってたじゃん。」


 そう言って、透真はすみれたちの方に駆け寄った。男たちは透真を見て


「なんだ、用事ってこいつかよ。」


 と、吐き捨てるように言ってすみれから離れた。


 すみれは透真の顔を見て驚いた。


「大丈夫だった?また会ったね。」


 透真は優しくすみれに声をかけた。


「ありがとう。また助けてくれて。」


 すみれは震えたような声で頷きながら言った。


 あの本屋で会った日に、透真がバーテンダーだと言っていたのを思い出したすみれは


「働いてるお店って、ここ?」


 と透真に聞いた。


「そう。今帰ったらまだアイツらこの辺りにいるかもしれないし、とりあえず入って。」


 と、開店前だが透真はすみれに店の中に入るように促した。


 すみれと透真はバーの中に入り、入口ですみれを待たせ、透真はバーの店長のところへ何かを伝えに行った。


 バーの店長はすみれをチラッと見て透真と二言三言話し


「いいよ。どうぞ。いらっしゃいませ。」


 と声をかけた。


 透真はドアの前で待っていたすみれの元に戻り、バーカウンターの一席に座るように案内した。

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