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「す、すまない……。反応が面白いから妙な言い方をしてしまった……」

「お前も冗談言えんのかよ」

カービーがスマホから目を離さずに茶々を入れる。

「みょ、妙な言い方って……?」

マーベルの身体を揺らすのは止めたソフィアだが、不安そうな視線でマーベルを見つめる。

「……正確にはアルノードがある程度の量の衡神力に触れるとその瞬間に消滅する」

「正確に知りたくなかった!!」

ソフィアはショックを受けて顔から血の気が引いていく。

「……あれ? でも『その瞬間』って……。私、結構長い事皆さんといますけど平気なんですが……」

自分の身体を見回すソフィア。消えそうな気配はまるでない。

「それはキミの身体が『半精霊化』しているからだ」

「ハンセイレイカ?」

ソフィアが首を捻る。また知らない単語が出てきた。

「ああ。要はアルノードが精霊と同じような状態になる、精霊化するということだ」

「ええっ!? 私、精霊になっちゃったんですか!?」

「まあ……そういうことになるかな」

「な、なんで……。いつのまに……」

ソフィアがガックリと項垂れる。

「……ショックかな?」

マーベルが心配そうにソフィアの肩に手を置く。

「……あれ? よく考えたら別にショックでもないかも……。普通に生活出来てますし」

ソフィアは首を捻りながらそう呟いた。強い子だった。

「……少しキミの考えは置いておこう。まずどこから説明したらいいものか……」

「ソフィアさん。前の学校に凄い仲のいい友達はいた?」

悩んでいるマーベルに代わって、雫が話し始めた。

「ば、バカにしてるんですか! いくら学校の雰囲気が合わなかったと言っても友達くらいいましたよ!!」

ソフィアが怒りで雫に食いつく。

「いや別にバカにしてるんじゃなくてさ……。毎日……とまではいかなくてもそれくらいの頻度で一緒にいた人はいた?」

「毎日って……。黒川君達みたいにですか?」

「まあ……。そうかな」

雫は照れたように頬を掻いた。

「う~ん……。そう言われると特段そこまで仲の良い人はいなかったような……。……あれ? もしかして私、友達いない?」

「……本当にいなかった? 先生とかでもさ」

「先生も別に……。……あっ、でも高校じゃなくて中学校なら凄い仲の良い友達は何人かいましたよ。それこそ毎日遊ぶくらいの」

「ああ。多分だけどその友達の中に精霊がいたんだね」

「えっ!? ど、どういう事ですか?」

ソフィアが驚いた表情を雫に向ける。

「ソフィア・ヴェジネ。いきなりだがアルノードが半精霊化する条件を教えよう」

マーベルが話に割って入ってきた。先ほど雫に割り込まれたのが気に入らなかったのか、少し早口になっている。

「さっきも言ったがアルノードはある以上の衡神力に触れると消滅する。つまり微量の衡神力ならばアルノードにとっては害にならないということだ」

「はあ」

「そしてここからが重要なんだが……。微量な衡神力に触れ続けると徐々にアルノードの身体にも衡神力に対する耐性が出来るんだ」

「へぇー。なんかウイルスみたいですね」

「……そしてその衡神力に対する耐性が出来た状態でさらに多量の衡神力に長い間触れていると、精霊と同じように自分の身体から衡神力を生み出すようになる」

「えっと……。つまりそれが半精霊化?」

「そうだ。我々精霊は普通に生活しているだけでも本当に微量だが衡神力を発し続けている。そんな精霊の近くに数年間共にいれば衡神力に対する抗体ができる」

「つまり……私が中学生のときに精霊さんと一緒に遊んでいたせいで私も精霊になっちゃったってことですか!?」

「そう言う事だ」

マーベルは涼しい顔で頷く。

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