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「おぉ~。始まった始まった! ……う~ん、でもこれは戦力差が均等じゃないなぁ。『だいたい人間チーム』のが不利だねぇ」
シスは空中に映し出されている、テレビ画面のような映像に釘付けになっていた。最初こそ身を乗り出して見ていたが、途中から椅子に座りなおし、背もたれに深く背を預けた。
「そんな大切な闘いじゃないみたいだし、ちょっとテコ入れしちゃおうかな~」
シスが映像に向かって右手を伸ばす。
「何をやっているんですか貴女は……」
シスの腕が伸び切る前に横から現れた手がシスの腕を掴んで止める。
「おっ? オルガちゃんも見る? 今ちょうど始まったとこなんだよね~」
いつの間にかシスの座っている椅子の横に立っていたオルガがため息をつく。
「何度も言っていますが、我々外側の者が内側に干渉するのは止めなさいと言っているでしょう」
「何もしてないもーん。見てるだけだモーン」
「いや、今まさに干渉しようとしていたところだったでしょう……」
オルガが再びため息をつく。さっきよりも深い。
「だって~。闘いの場は拮抗してた方が面白いじゃーん。不利なほうが有利なほうに勝つなんて、私たちがテコ入れしてるみたいに思われるじゃん」
「誰に思われるんですか。……そもそも、絶対に不利なほうが負けると決められているわけではありません。精霊も人間も、逆境を覆す力は持っています」
「ええー、そうかなぁ。私はどっちが勝つかわからないゲームのほうが好きだからなぁ」
「……まあ好みは人それぞれですが。……おっとそう言えば」
オルガは何かを思い出したように手を叩く。
「雫から貰ったゲーム雑誌を整理しておきませんと。そろそろまた次の本が来るころですからね」
オルガは回れ右をしてその場を離れようとする。
「そうだ。雫ちゃんの様子は見なくていいの? あっちもあっちでややこしい事になってたみたいだけど」
「別に構いません。様子を確認したところでどうなるわけでもありませんし。……貴女も様子を見るのは構いませんが、干渉するのは止めなさい。そういう取り決めでしょう」
「はいはーい。わかってま~す」
シスはオルガの方を見ないで手をヒラヒラと振る。
「本当にわかってるんですかね……」
オルガはシスの方を気にしながらもその場を離れる。
「……オルガちゃんは行ったか。よーし、それじゃあ」
オルガが居なくなったのを確認すると、シスは再び映像に注目する。
「雫ちゃんのほうはなんか大丈夫そうだし、やっぱりこっちのほうにテコ入れしちゃお!」
シスが伸ばした手が淡く輝き始める。その光は徐々に映像に移っていく。
「まあ……。ちょっと大きめにテコ入れしてもあの子たちなら大丈夫でしょ♪」
シスはニコニコとご機嫌そうに笑うと、再び座り心地の良さそうな椅子に座りなおした。
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