×××、×××。

 ……あぁ。

 暗闇だ。ひとつの光りもない、自身の身体すらも確認できないほどの漆黒に、本当に自分がここに存在しているのか心配になってくる暗闇。

 この感覚に教われるのは、久しぶりだった。死ぬほど嫌いな、この感覚に。



『なぁー、いいのかよ』



─ 何が



『あいつを入れて』



─ ……別に



『お前だって、人は嫌いだろ?』



─ そんなことない



『嘘つくなよ』



─ 嘘じゃない



『強がんなよ』



─ 煩い



『正直になれよ。俺はわかってるから』



─ 違う



『あんなやつ、入れなくてもいいだろ』



─ 五月蝿い



『無理ですーって、そういや終わる話じゃん』



─ あの子に悪い



『そうやって言うってことは、やっぱりやなんだ』



─ 違うって言ってる



『ほんと、そういう意地っ張りなとこは昔っからかわんないよな。』



─ ……



『そんな睨むなよなー。昔のことから逃げ続けるのはよくないぜ?』



─ 黙れ。



『なんでそんな嫌がるんだよ。俺は昔のお前好きだったけどなぁ、クールでかっこよくて……』



─ 黙れって言ってるだろ



『な、また昔みたいになってみたらどうだよ。絶対楽しいって』



─ 黙れ…



『なあ、いいだろ? ……××___』



「黙れ!!! ……っ」



 一番に冷気が身体に気持ち悪くまとわりつく。汗に当たってひんやりとした感覚があった。

 気のせいかもしれない頭痛のせいでくらくらする。あいつの声を聞くたび、あの話をされるたび、あの名前を聞くたび、とてつもない嫌悪感に吐きそうになる。


 そんな最悪な悪夢。もう二度と遭いたくなかったのに、これからは暫く付き合わなければいけなくなりそうだよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます