最後の土地はどうするか?

「ふぅ~、ようやく落ちつけるよ」

「今日までお疲れ様でした、真心様」

「なんだかんだ9月いっぱいほとんど使っちゃったよね、ダンジョンの調整」


 あれから数週間、真心とマモノ達の環境改善対策は熾烈を極め続けた。

小鳥達と猛禽の制空権争い、逃げる害獣とテリア達の逃走劇。

害虫達の思わぬ反抗と小鳥達の奮戦。


「まさか池も色々ヤバかったとはね」

「でゅら娘様が釣りをしたいが為に魚を放流したツケでございますね」

「もう反省してるっす、だからいい加減この看板、首からとっていいすか?」

「ふん、ちゃらんぽらんな貴様には丁度いい首輪だろう」

「フィルっちそんな事言わずに助けてっす~」


 更に更にサンダーバードのエリアとエルフ達のエリアの湖にも問題が出ていた。

でゅら娘が釣りをしたいという身勝手な考えから放流されたアーバヴォーアニマルで作った魚が繁殖、湖内の生態系もいくらか崩壊してしまった。

その為、ここでも真心のマモノ想像能力で湖の生態系を正常化する事の出来るマモノをいくつか召喚した。湖のゴミ掃除をするエビ型やタニシ型のマモノ。

魚を好む肉食性の水棲マモノ、泳ぐのが得意なマモノ。

その為、真心の呼べるマモノのレベルの木属性は2に上がったりもした、動物を増やした結果である。


 逆に排除したマモノなんかもいる例えば日本各地でも問題視される中国原産の草魚達はもれなくサンダーバードが感電死させた、そんなこんなでこの島の生態系は本来の日本に近しい生態系を真心と仲間達でかなりギリギリの状況で保っている。


 そしてそんな生態系の崩壊を招くような真似を軽い気持ちでしたでゅら娘の首にはと達筆で書かれた看板が下げられ真心の部屋では座布団に座る事を許されず現在は畳みの上に正座しているのであった。

ちなみに看板作成は真心に頼まれた空だったりする。


「世の中の自然保護管さんとか環境省の人の気持ちが判ったよ」

「ですが正直なところを申しますと、生態系の維持に固執する必要性は本当は無いと思います、それこそ害虫、害獣、害鳥も真心様の手にかかれば意のままに操れますよ野生のまま放置せずともすべて管理してしまえばよろしいのです」

「それ私の負担は考えてないでしょ、それに生き物ってのは本来自由でなくちゃ」

「いい考えっす、真心様、なので私にも今一度自由を!」

「だめー、でゅら娘はもう少し反省してくださーい」

「あう~、後生っすから~」


 真心は元々自然を愛する少女、自分で生き物を飼ったり育てたりもしたがやはりというかそうだろうと言うか自然そのものを肌で感じるのが好きな少女であった。


「真心様、ダンジョン作りもほぼ大詰め、残る最後の土地はどうされます?」

「ブック、まずは今の魔力なんかを全部確認してからね、フェアリーの魔力があるからって確認せずにばかすか使ってたし、どうなってるかな?」


 真心はそんな事を考えながらブックを開く、では、そんな真心のブックの中身は。


【名前】安達真心あだちまこ

【ダンジョンランキング】8965位

【魔力】56000/107400

【属性】

【木】レベル2 次のレベルまでの必要魔力200

【火】レベル2 次のレベルまでの必要魔力300

【土】レベル0 次のレベルまでの必要魔力100

【水】レベル5 次のレベルまでの必要魔力0

【金】レベル0 次のレベルまでの必要魔力100


「かなりの数を呼びましたがそれでもこの数が残ってるのですね」

「ふふーん、どうだ、これが頑張った真心ちゃんの力だい」

「魔力の総量が依然とそう変わらないのでダンジョンバトルに勝利できずマモノからの魔力譲渡で誤魔化してるからなだけですがね」

「ふぐっ、ま、まぁ、それも私の作ったマモノの力だし!」


 真心のブックの魔力は膨大であるが、今まで呼んだマモノの力に反してその総量は依然と少し変わる程度であった、何故かと言えばダンジョンバトルで折角上げた魔力を根こそぎ盗られたりを何度かやっているためだ。

 そしてその都度、フェアリー最近ではゴブリン達に魔力を分けて貰う事で事なきを得ているのだ。


「さて、最後はどうしようかなって考え中なんだよね、う~ん」

「次に先延ばしでも一向にかまわないと思いますよ」

「そうしよっかな」


 最後にまだエリア7と定めた土地が残るが真心は無理にそこを埋める必要もないだろうとブックを閉じる、それにこれからも島では何か問題が起きる可能性があるかもしれない、そう思うとむやみやたらに魔力を使う事も無いだろう。


 こうして真心のダンジョン拡張はひとまずの終わりを見せる。

そして時は秋の深まる10月へと入るのであった。 

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