真心の環境改善計画③

「さてと、次はシャルルの所だね」


 次に真心が来たのはシャルルの畑、他の土地と違いここは鬱蒼とした森はなくただただ広い畑が広がる大農地である。そこではシャルルと菖蒲そして数体のゴーレムが畑の野菜の何かをピンセットでつまみゴミバケツに入れる作業をしていた。

 真心達に気づいたのか、作業をゴーレム達に任せ二人が真心に挨拶をする。


「先輩とシャルルは何をしてたんですか?」

「虫取りですよ、限界までゴーレムを出しても人手が足りないんですよ」

「猫の手も借りたいほどだニャ」

「実際シャルルさんがお昼寝できてませんものね、真心さん他の所は解決したんですか?」

「多分かな? 害虫と害獣ダブルできついんだっけ?」

「そうだニャ、何とか出来ないかニャ?」

「とりあえず、虎徹とでゅら娘の所にいく街道を作って林道を作ったり出来る?」

「それくらいなら、ゴーレムを操ってマジックウッドを植えるだけだし、数日には」

「成程、鳥達に虫を食べて貰うのですね、そういえば会議の時から気になったのですけどアーバヴォーアニマルで何故ムクドリなどの小鳥達を出せたのでしょう? あれらは雑食ですよね?」

 

 菖蒲はそんな至極当然な質問を真心へとする、真心は体を強張らせ答えに言い淀むがシスタがあっさりとその答えを述べていく。


「真心様の想像の中ではその鳥らは草食の位置づけだったのです、言われて気づいたと言う顔をしてらっしゃるでしょう、勉強不足で御座いますね」

「もー! いいでしょそれは! 害獣退治のマモノを呼ぶからね召喚!」


 そう雑食性の小鳥が出たのは真心の認識不足からでありそこからダンジョンマスターの権利の力が作用した結果アーバヴォーアニマルによって雑食性の鳥も召喚できるというようにいつの間にか改変されていたのだ。

 そんな菖蒲の指摘とシスタの冷静な解説に居たたまれない気持ちになりながら。

新たなマモノを召喚する害獣退治ならまたテリアかと思えば違い召喚されたのは野性味を感じる姿をした猫であった、その名も不眠ヤマネコ。


・ネコ科のマモノである

・怪我のない状態であれば長期間不眠不休で活動出来る

・土中のネズミやモグラを好んで食す


 レベルは2と弱めの設定、知性段階も2だ、まぁアーバウォーアニマルを倒すのなら十分な力だ、その野生的な猫達はシャルルと菖蒲の前で自分の本能に従い、昼寝をしたり、飛んできた蝶々にじゃれたりしている。


「シャルルは自分で出した猫以外も支配下におけるからこの子達に害獣退治をさせればいいよ」

「ありがとうございますニャ、さぁ、我が眷属となり手足の如く働くニャ」


 シャルルのその号令にヤマネコたちは先ほどまでの自分勝手な行動を止めるとすぐさま畑へと走り出し、穴倉を覗き込むと同時に掘り起こし何体ものネズミをシャルル達の前へと献上していく。


「うっへぇ、滅茶苦茶出てくるね、いくら出てくるんだろ」

「随分肥えた物だニャ、この腹に吾輩の育てた野菜が入ってると思うと、ムキー!」

「シャルルさんがお猿さんになってしまいました、ここは後は任せて頂ければよいので真心さんは次の作業をどうぞ」

「はい、それじゃ頑張ってください、菖蒲先輩、シャルル」


 シャルルはどんどん目の前に積まれていくネズミに地団駄を踏み猿のように顔を赤くし杖を振り回し激怒する、菖蒲はそんな姿を少し困ったように眉を顰めながら真心を送るのであった、環境改善はこれでいけるはずと真心は次は新たな戦えるマモノを呼ぶが為、まだマモノがいないエリアへとシスタと共に飛ぶのであった。

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