快進撃

「っく、眷属よ、なんとか押し返すニャ!」

「まだでござる、拙者、ここで朽ち果てる気は無いでござるよ!」

「この数、三人で相手するんじゃきついっす、シスタっち戦えないすか」

「補佐役はマモノに対して敵味方問わず物理的干渉が不可能でございます」

「不便でござるなぁ! まあ文句言っても変わらぬ、持ちこたえるでござる」

「持ちこたえたらなんかあるんすか!」

「吾輩が外に連絡したニャ、時期に仲間が手助けに来てくれる筈にゃ!」


 虎徹、でゅら娘、シャルルは苦戦を強いられていた、既に虎徹は弓で射抜かれ剣で切られてるのかいくつか怪我を負っていた、シャルルの眷属も何体かが息絶えておりでゅら娘の鉄鎧も所々がへこんでしまっている。


「しかし、真心様はどうしていきなり」

「……おそらく敵のマモノの仕業かと」

「考えうるのは吾輩の様な瞬間移動の能力持ちだニャ」

「でも、それなら拙者やでゅら娘殿が気づくでござる」

「気づかなかったというか、気づかせなかったってところすかね」

「だとしたら、トレーナーだけ狙うとは卑劣でござ……ぐぁ!」

「……眷属、盟友虎徹の補佐にも回れ!」

「完全に負けムード……うん? なんか凄い勢いで来てるっす?」


 三人はテレポレオンの存在に薄々感づきながら、襲い来るマモノを退け続ける。

途中、虎徹は真心だけを狙う事に非難の声を上げようとすれば肩に矢を受ける。

限界が近いとシャルルが虎徹の方にも更に肉食の猫を呼び援護させる。

そうして何とか耐えていれば、来た道である後ろを守るでゅら娘が何かを見つける。


「うおおおおおお、コテツサマー!!!!!」

「突っ込め! ゴブリン印の爆弾ブースター荷車!!!!!」

「おお! おぬしら来たでござるか!」

「っちょ、でもあれは勢いつけすぎっすよ!」

「タイミングを見極め乗っかるでござるよ」

「わかったニャ、とう!」

「あたしもっすか、いよっと!」

「失礼いたします」

「助かったぞお主ら! このまま、この十字路は突破でござる!」


 それは後ろから凄い勢いの炎を噴き出しながら突進する荷車であった。

その荷車には数体のゴブリンが乗っており、虎徹に手を振りながら突撃してくる。

その突撃する荷車に全員が慌てながらも飛び乗る事に成功すれば。虚を突かれた他のマモノ達はその荷車に轢かれ潰されて行く、そうして十字路を何とか突破していく。


「まだ、援軍は来ているようです、見てください」

「Grrrrrrrrrr!!!!」

「あたしのクーシーちゃん! いいっすよ、敵を威嚇して追っ払うっす!」


 更に援軍は続き、でゅら娘が毎日、森の中で世話をするクーシー達も走り追ってきており、左右にいた猫を救出しながら荷車を追いかけてくる。


「ロケットブースターだけじゃない、これも喰らえ、ゴブリン印の黒色爆弾!」


 更に同じような荷車に乗るゴブリンが続々と合流そのまま殿を務めたり、別ルートへと突撃し、しぶとく耐えたマモノ達を爆弾により弾け飛ばしてしまう。


「いつの間にあんなもの作ったんだニャ、盟友虎徹」

「うむ、空様が『かがく』という物を教えてくださったでござる『きょうかしょ』や『さんこうしょ』という物も預かってるでござるよ」

「後で、吾輩にも読ませてくれニャ」


 ゴブリン達が使う爆弾の出所をシャルルが訪ねればどうやら空がダンジョンバトルで必ず優位に立てるであろうと兵器や化学についてを教えていたようだ。

そんな風に答えながら、到着した援軍と共にダンジョンのマモノを蹴散らしながら進んでいればシスタがとうとうと言った所か、居場所を把握した、してその場所は。


「ここから向こうの方ですね」

「そのー、壁なんすけど」

「通路から入る術はございませんでした、前面を壁に囲まれた密室でございます」

「このまま直進が早いから、その方角を指さしてるわけだニャ、盟友シスタは」

「はい、ゴブリン様達であればそれが可能でしょう」

「そうでござるな! 爆弾とつるはしを持て、壁を壊して直進でござる!」

「なら、あたしは追撃してくるマモノの足止めっすかね…………お前ら全員、首おいてくっす」


 真心の閉じ込められた場所は扉さえもない通路から入る方法が存在しない密室とシスタが答える、そうであれば取れる手段は一つ、壁を爆弾や荷車に載せていたつるはしでぶち壊して突き進むだけだ。行動は早かった。

 虎徹とゴブリンが猿叫を上げながらつるはしを振り上げ爆弾を投擲し壁を壊す。

後ろから来るマモノをでゅら娘が鮫の様に笑い睨みつけ恐怖で足止めする。

それらはシャルルの猫とクーシーに貪り喰われ死んでいく。


「こいつら……っく、すぐにあのお漏らし女を降参させる、補佐役!」


 龍二はその姿を見て焦り、勝負をつけるべく真心の所へ飛ぼうとする。

しかし、それは意外な形で叶わなかった。


「させるか! 主殿、貴様にはこれ以上は付き合いきれん、ここらで観念するのじゃ!」


 黙っていたドラゴンが龍二を羽交い絞めにし押さえつけるのであった。

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