勝てるわけがない
「……勝てる訳が無いよ!」
「相手は男の人4人、それも一人はプロですからね」
「いやー、あたしの特徴が使えれば楽勝なんすけれどねー」
「プレイヤーへ危害を加える魔法や特徴の使用は禁止されたでござろう」
「そうなんすよねー、マジでどうしましょ、負けたら、虎徹っち取られるっすよ」
さて、始まったバスケの試合、既に20分が過ぎ残るは半分の20分のみであった。
そんな20分で戦況がどうなったかと言うと、御覧の通りの有様、既にぼろぼろ。
相手との差は開く一方で会った、何せ相手は大の男4人、そのうちの一人である犬山は車いすバスケではあるが現役のプロ、普通のバスケをやらせても一定以上の実力を誇る、他三人の猿渡、雉谷、鬼も男性と言う事で体格もあり、真心達のチームは不利な状況で戦わねばならなかった、さてここでは話に上げていないドッペルだが。
「一番厄介なのは、ドッペルでござるよ、真心様達に化けてパスを奪うのでござるよ反則でないのでござるか」
「あくまでプレイヤーへ危害を加える魔法と特徴の使用っす、ドッペルは自分の体にしか特徴を使ってないっすから、ギリギリセーフってところすかね」
そう、一番の厄介者と化していた、ドッペルは犬山の記憶にある者にならどんな存在にも化けれてしまう、であればその能力を使い真心達にも簡単に化けれてしまうという寸法だ、その力で真心達に化け真心達を混乱させるという反則すれすれの行為でボールを奪っているのだった。
「どうする真心ちゃん? このままじゃ負けちゃうよ」
「どうするっていってもなあ、思いついたけど、反則すれすれだよ、これも」
「おお! 名案があるなら、それを使うでござるよ」
「わかったよ、私の提案はね……ごにょごにょ」
「「「「あ~……」」」」
「確かに勝てそうですけど、反則すれすれですね」
「それで勝っていいのかなぁ?」
「でも勝たないとっすよ、今回さっきも言ったけど虎徹っち取られるかもっすよ」
「そうでござった! 勝って、勝ってほしいでござる、後生でござるから!」
「わかった、わかったから、顔拭いて、縋りつくのやめてよ、虎徹」
真心の名案に一同が、ひと声漏らす、菖蒲や空はどうだろうかと少々渋い顔をしていたが、虎徹は真心達と離れたくないが為、大の男であろうにもかかわらず、涙と鼻水で顔を濡らし、真心に縋りつくのであった。
「休憩終了、勝負の続きをしようか、といっても勝てそうだけどね」
「それについてですけど、選手を交代したいです!」
「おや、別にいいけど、誰が変わるんだい?」
「一度私のダンジョンに戻って交代する人を呼びに行ってもいいですか!」
「構わないよ、5分待っててあげるよ」
「ありがとうございます!」
犬山が休憩の終わりを告げると、真心が手を上げて選手の交代を宣言する。
と言ってもこの場にはいないので一度試合を中断し自分のダンジョンへと戻る事の許可を取り、5分を待たずして一匹連れてくる。
「吾輩、猫の妖精ケットシー、真心様に変わって参加させてもらうニャ」
そこに立つのはバスケのユニフォームを着た小さな猫であった。
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