菖蒲のダンジョン計画 ①
「出来たわ」
「お疲れ様です、空ちゃんがお昼買って来てくれましたよー」
「あら、ありがとう、その空さんは?」
「虎徹と一緒に安住城の改修のお手伝いに行きましたよ」
「あらそう、それじゃ私達は予定の通りの場所に今から?」
「そうですね、まずはこのマモノのお膳立てをしないとかな」
菖蒲が本から顔を上げて、絵が完成したことを知らせれば、真心は空が買ってきてくれたであろう、ファーストフード店の袋を手渡して二人で食べ始める。
空はどうやら別行動、今日は菖蒲と真心とシスタの3人での活動だ。
真心は予定の場所に行く前にマモノに準備が必要だと思いそれをするべく外へと二人を伴って出ていく。
「それじゃ、早速召喚しますかね、よっと」
「吾輩は猫の妖精ケットシー、初めましてなのニャ」
「はぁ、やっぱ可愛いわ、初めましてケットシーさん、私は菖蒲って読んでね」
「菖蒲様ですニャ、して吾輩がすべき事をお教え頂ければと思うのですニャ」
「今から行く場所一面を大農場にするの、貴方の力があれば出来るはずよ」
シルクハットに紳士用ステッキを手に持つ2足歩行をする猫、それが3人の目の前でシルクハットを外し恭しく礼をする、とても紳士的な様子を漂わせる。
してこのマモノは農場を作る能力を有するのか否か、それは否である、しかし。
「なるほど、吾輩の能力ですニャ、ですが今少し準備が必要ですニャ」
「その為のお膳立ても今からする予定よ、エルザー」
「ハイなのですー、あれ、そっちの猫さんは誰なのです?」
真心がフェアリーの森の方へ声をかければエルザはすぐに寄ってくる。
真心の隣にいるケットシーに驚きながら二人は自己紹介を済ませれば、真心はエルザを呼んだ理由を話し始める
「収穫して貯蔵してるものを分けてほしいんだけど」
「どうするのです?」
「えっとね…………」
「ふむふむなのです、そう言う事なら持ってくるように皆にぴぴぴぴーするのです」
「ぴぴぴぴ?」
「フェアリー同士の連絡が出来る魔法のようです」
エルザが手を頭に当てて口でぴぴぴぴと言うと、大勢のフェアリーが果物を真心の前へとドンドン積んでいく、シスタも言っているがフェアリー独自の信号をエルザは発しそれをフェアリーが感知する事が出来る魔法のようだ。
「ふむ、これだけあれば足りるニャ、それ、魔力吸収だニャ」
ケットシーが杖を果物に向けると、果物から青い光がケットシーの杖へと吸い込まれていく、さて、このケットシーの能力を遅ればせながら説明しよう。
・魔力を持つ食物から魔力を吸収し自身の魔力にする。(食べたり飲む必要はない)
・魔力を用いて自分と同じ強さかそれ以下のネコ科の動物やゴーレムを召喚する。
・召喚した動物やゴーレムを完全に掌握し操作する。
・召喚した猫やゴーレムは自由に消滅させて魔力に戻せる。
・自身が召喚していないゴーレムや動物(ネコ科限定)も自身より弱ければ操れる。
・瞬間移動の魔法を使う、その他の魔法の研究を積極的に行う。
マモノレベル3にして知性段階3。このダンジョンきっての知恵物が生まれたのであった。
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