七辺三治の慢心

 ところ変わって、七辺三治のダンジョン。


「さてと、一週間でどんな準備をしてくるのかな?」

「一周間じゃ大した準備は出来ないわよ、三治ちゃん」

「僕もそう思うよマイン」


 深い迷宮の奥、マインの膝を枕にし寝転がる三治は慢心していた。

自分のマモノは強くもなく弱くも無いと知っている、だが攻城においては無類の強さを誇ると言っても過言ではないとそれだけは自負できる。


「三治様、侵入者が入ってきた模様です」


 ローブ姿でも分かる豊満な胸をした女性が三治の元にそんな報告をする。

三治の異世界では三治のダンジョンは帰る者がいない危険なダンジョン。

だが、その奥には財宝が眠っているという噂されるダンジョンとして。

広く知れ渡っていた、そして今回もまたその噂を聞いた者が入ってきた。


「内訳は?」

「男が5人のようです」

「適当にスケルトンで致命傷を負わせた後ゾンビに噛ませてゾンビ化させろ」

「かしこまりました」

「さすが、三治ちゃんね、貴方を選んだ神様は賢いわ」


 彼は土の性質を持つダンジョントレーナーである。

そして土のダンジョントレーナーの使えるマモノは土の性質とは別に。

死人の性質を持つマモノを扱う、先ほど口に述べたゾンビやスケルトンの他に。

今、彼の元に来たローブ姿の女性もリッチという死人の性質を持つマモノ。

彼女は他の知性を持たない死人の性質を持つマモノを操る力を持つ。


「馬鹿な奴ら、ちょろっと財宝があるって噂だけでのこのこやってくるんだもの」

「それを流したのは三治ちゃんでしょ」


 この男は相当に賢い部類の人間に入る、この男をダンジョントレーナーにした神様もこの賢さに目を付けたのもあるが、それよりも非人道的行為をいともたやすく行える胆力や嘘をこともなげにつける狡猾さに目をつけたのだ。

その結果が偽の噂に惑わされた、今迷宮をうろついているゾンビ達だ。

 ゾンビに噛まれるとゾンビ化するという特性を使い、このダンジョンには今。

三治の魔力を使わずに増えたゾンビが跋扈しているのであった。


「連れて行くのはどうするの?」

「ダンジョンに歩いてるのと魔力で作ったやつを合わせて1000、それとリッチ達」

「ダンジョンの歩いてるのは三治ちゃんの魔力で作ってないから消えちゃうわよ?」

「なに、材料は向こうから勝手にやってくる、どんどん使ってやろう」


 召喚によって増えたりしたわけでない魔力を使わず増えたゾンビは死んでしまえば完全に消えてしまう、だが、ウソの財宝に惑わされいくらでも材料は来る、散々に使ってやろうと七辺はほくそ笑む。


「どうするかな? 安達真心、士気も何も関係なく休憩もいらず絶え間なく攻める

心無きゾンビ達相手にどこまでその心を保てるか、さぁ、勝負と行こうか」


 そうして一週間が経つ、とうとう決戦の日になるのであった。

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