ダンジョンの夜

「おかえりなさいませ、真心様、空様」

「ただいまー、あ、今日は空ちゃんも一緒に寝るからね」

「よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」


 お風呂と食事を済ませた夜、異世界のダンジョンの畳部屋に布団をもって空達が戻ってくる、今日は泊りという事なので、ここで寝る事にするのだった。


「さてと、ため池を作って葦を生やすんだっけ?」

「そうなの、今のままじゃ多分ゴブリンさんのお家が作れないから」

「ゴブリンに肩入れするね、空ちゃん」

「それは、作って貰ったマモノだし、少しでも目をかけてあげたいなって、結局真心ちゃんを頼らなきゃいけなくなったけど」

「何言ってるの空ちゃん、ここは私のダンジョン、私が一番頑張らなきゃなんだよ、空ちゃんがお手伝いしてくれてるのってすごく助かってるんだよ」


 事実、真心だけではゴブリンを妖精の性質を持った物と生むことは無かっただろうし。それに付随して生まれた歩き茸やヒカリゴケ、マジックウッドも無い。

そしてモノを作る力の可能性の幅を知ることも無かった。

 このダンジョンに空の発想や知識は今やとても重要な物となっているのだ。


「ただまぁ、今日は夜遅いからね、ゴブリンも寝ているだろうし、ウッドゴーレムに指示を出してため池をいくつか作って貰って、明日ため池と葦を作るよ、シスタ」

「かしこまりました、ウッドゴーレムに指示を出してきます、数はどうされますか」

「え、シスタさん外もう暗いけど平気なの?」

「夜目も聞くようになっておりますので、平気でございます」

「さすがはシスタだね、数はとりあえず、1つ、でもなるべく大きな感じに」

「かしこまりました、それでは行ってまいります」


 シスタは真心の命令を忠実にこなすべく、高速旅行ファストトラベルによってその姿を消してしまう、今頃ウッドゴーレムに指示を出しに行った頃だろう。


「二人で何してようか?」

「あ、ゲームあるよー、オセロと五目並べだけど」

「じゃ、オセロでもしよっか」

「今日は負けないぞー、あ、お蜜柑食べる?」

「食後のデザートに貰おうかな、ありがとね」


 真心達がちゃぶ台から少し離れた所、布団の近くの袋からいくつかのゲームを取り出す、ダンジョンは電気は無いのでテレビゲームは出来ない、というか二人はあまりテレビゲームに馴染みが無かったりする。


 なのでこの場で遊べるのは上で提示したようなテーブルゲーム、空もそれは分かっており、真心がゲームと一緒に手渡す蜜柑を食べながら一緒に眠くなるまでオセロなどのアナログゲームをするのだった。


 ちなみに今回の勝者も空であった。




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