空の大苦戦

 空のゴブリンへの様々な事を教える計画は難儀していた。

まずは石器を作ろうとするも、思った通りに削れなかったり。

粉々に砕けてしまったりと、まったくといって成功しない。


「使ってる石かな? やっぱ、それ用の石じゃなきゃダメなのかな?」


 打製石器に使われた石にも色々ある、河原や掘り返して出てきた適当な石を叩いて作れるほど簡単な物ではない。石器には石器に適した石という物がある。種類としては黒曜石、ついで頁岩かつがん、サヌカイトそしてチャートなどといったものがある。

今、掘り出した者で空が使った石はそれらではなかったのだ。


「諦めて土器作ってみようかな? ……なあにゴブリンさん……!? え、これ石器だよね、貴方が作ったの? …………チャートかな? この島ならありえるけど、凄いね、これは君のだよ、大事に使ってね」


 空が諦めて別の事をしようと思った所にゴブリンの女の子が空の服の袖を引き、石で出来たナイフを見せてくる、それはチャートという岩石によって作られた石器だ。

ちなみにこのチャート、詳しく説明するなら二酸化ケイ素を主成分にした堆積岩たいせきがん

 これらの成分を持つ動物の殻や骨片が積りに積もって石になったものだ。


 さて、空は次に土器作りに移行してみるのだが


「…………こっちは無理そうだなぁ、粘土質の土はあるけど……それじゃ足りない」


 空はより分けた粘土質の土を見て土器作りは諦める事にするかと思う。

土器を作るのもまた容易ではない、ただ粘土をこねて乾かして焼いて出来る物じゃないのだ。


 土器に使われる土からしてまず大事であって、ただの粘土質の土では乾かしてる時にひびが入り、壺や器として機能しなくなる。それを抑えるのに必要なのがある程度の山砂であり、それらを混ぜればひび割れなどを抑えれるのだ。

山砂は岩盤が風化したものでホームセンターでも売ってたりする。


「それに住居と思ったけど、そもそも基礎が作れない、竪穴式住居かな? それだと今度は葦なんかを育てて藁にする必要があるよね」


 そして住居を作ろうとも考えるが、基礎工事に必要なコンクリート何て用意出来ない、それでは昔作られていた竪穴式住居と思ったがあれは柱などは木だが、屋根や壁はイネ科の茎を乾燥させた藁を使っているのだ、やはり難しい。


「真心ちゃんに頼むしかないかなぁ、ちょっと残念……慰めてくれるの? ありがとねゴブリンさん」


 まずはまた真心に色々頼む他ないとしょげてしゃがみこみ草原に座り込む空の横にゴブリンが近づき一緒にしゃがみこみ空を慰めてやるのであった。




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