明日から高校生活!

「……そろそろお昼かなぁ、お昼前なのに結構食べちゃった、この蜜柑美味しい」

「そのお言葉をフェアリー様にかけてあげればきっとお喜びになられますよ」

「それじゃ、ちょっと外に出てお話してこよっかな」


 真心は既に蜜柑の皮を三つ向きその三つを食べてしまっていた。

手を黄色に染めて満足そうに一言、シスタはそれをフェアリーに言ってみてはと提案するのでまたしても外へと出てくる。


「フェアリー、出てきてくれるかな?」

「はいなのです! どうしましたか真心様!」

「貴方達のくれた蜜柑食べたの、美味しかったからその御礼を言いにね」

「本当です! 嬉しいです、トレントとみんなで頑張って作ったのです!」

「そういえば、その皆は?」

「今は朝の作業が終わってお昼寝とか魔法の研究してるです」

「へぇ~、そうだいつまでもフェアリーじゃ悪いから名前をつけてあげるね」

「お名前です?」

「そうね、エルザなんてどうかしら、英語の女性名で一般的だし」


 否である、英語圏だとエルと発音するのが普通だ、ちなみにこの名前はドイツ、フランスでも一般的な女性名であったりもする。

まぁ何が言いたいかと言うと真心は英語もとい勉強全般は苦手な少女であると言う事だ。


「エルザ、それなのです! 今日から私はエルザなのです!」


 が、フェアリー改めエルザにとっては名付けて貰うと言う事が重要でその理屈等は然程重要ではなく、大いに喜ぶ。


「それじゃあ、今日から貴方が中心になってこの辺りを管理してほしいの」

「管理なのです?」

「領主様っていうのかな? 決められた土地のリーダーって奴をしてほしいの」

「リーダーなのですか、やるのです! エルザ頑張るのです」

「詳しい領地の広さはシスタと決めるから後で聞いてね、その領地の中でトレントや仲間を増やしたりして、私にちょっとだけ果物を分けて欲しいの、出来る?」

「やるのです、頑張るのです!」

「それじゃぁ、お願いね」

「はいなのです」


 こうしてエルザ領がこの島に生まれるのであった。

そして洞穴の自室へ戻りシスタにこの事を報告して地図を見てフェアリーやトレントがムリなく広げられる程の領地を決める。それが終わると真心は一度お昼ご飯の時間の為にダンジョンから出ていき、お昼を食べに戻る、数分後再び戻ってくる。

今日のお昼はスパゲティであった。


「これからフェアリーやトレント以外のマモノも増やさないとなぁ」

「その為には魔力を上げる事ですね」

「でも、明日から高校生活始まるから、あまりこっちに来れないかも」

「左様でございますか、存分に楽しんで来られるとよろしいかと」

「ありがと、このぶどうも美味しかったご馳走様、これで魔力上がったのかな?」

「確認してみては?」

「……上がってるね、でも20くらいかぁ、毎食食べないと沢山上がらないかも」

「それでは、朝登校前にダンジョンに一度来て持っていかれては?」

「それいいかも、後ダンジョンに住んじゃおう、そうした方が効率いいし!」


 真心は一度自室に戻ると掛け布団と敷布団を押入れから出しダンジョンへと持ってきてしまう、真心は寝るときはベッドではなく布団だ、過去小学生の頃にベッドから転げ落ち骨折したのがトラウマになりベッドで寝れないのである。


 夕飯の後、高校生になるのだから朝は起こさなくても大丈夫と親に告げてから部屋へ戻りダンジョンへ、そしてシスタに朝起こすように言ってから目をつぶり眠る。

明日からは花の女子高生、楽しい高校生活に思いを馳せながら。

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