真心のダンジョン計画②

 真心は更にマモノを作る、呼び出したのは。手のひらサイズほどの小さな少女であった。背中から透明な羽が生えており、それをせわしなく動かし空を飛んでいる。

彼女はフェアリーと呼ばれる妖精の性質を持ったマモノである。


「お可愛いマモノでございますね」

「シスタってクールビューティーな感じだけど、可愛いのとか好き?」

「そんなことございません」

「そんな恥ずかしい事じゃないのに、っさ、フェアリー、貴方はこれからトレントと一緒に頑張ってね、ある程度、花の蜜や果物で彼女たちも増えればいいんだけど」

「そういう設定を付与させたなら、彼女は新たな妖精をご自身で生み出すでしょう」


 真心は召喚しフェアリーに話しかけてからトレントの方へと向かわせる。

するとピクシーは一つのトレントの木の枝に静かに座り足をぶらつかせる。

今は特に何もすることが無いといった感じだ。


真心がフェアリーに望んだ能力はこんな感じだ

・植物や果樹などの受粉を手伝い、蜜や果物を貰う

・貰った蜜や果物、魔力を持つ食べ物を食べると新たな妖精を召喚できる

・フルーツトレントを栽培して殖やす。

ちなみに彼女はマモノレベル0 知性段階2で消費魔力は10とトレントと同じだ。


「どのくらいで成長するのかな?」

「マモノの成長は比較的早くあります、一日もすれば花が咲き、受粉が行われればすぐにでも実をつける事でしょう」

「あの子一人で大丈夫かな?」

「ご心配でしたら私もフェアリー様のお手伝いをしますが」

「そうなの? それじゃお願い、そろそろお昼の時間かな、またね」

「かしこまりました、それではいってらっしゃいませ真心様」


 真心はシスタの言葉とトレントの上からニコニコと微笑みながら真心に手を振る二人に見送られてダンジョンから一度向こうの世界へと帰るのであった。

 そしてここから春休みの最後の日まで真心はダンジョンへと戻れなくなってしまう


「真心さん、春休みの課題はもう終わったかい?」

「えっと、後ちょっと残ってる……」

「もう一週間しかないよ、そろそろ終わらせた方がいいんじゃないかな?」

「う、うん」


 高校から出されていた春休みの課題。


「まこちゃーん、一緒にお買い物いかない?」

「うん、何買いに行くの?」

「新作のスカート見に行きたいんだー」

 

 地元の中学の友人からの遊びの誘い。


『でねー、この前東京で何だけどー、もうねー』

「へー、そろそろ眠いから切っちゃってもいい?」

『ちょっと真心ちゃん冷たーい、でも、いい時間だし、いいや、またねー』


 女子同士の長電話だとか。


 などなどが重なって、真心が結局またダンジョンに入れたのは春休みが終わる最後の日の朝になってしまったのだった。


「久しぶりー、色々あってねー、マモノの様子どうなってるかな?」

「お久しぶりでございます、真心様」

「なに、その姿?」


 久々に真心が出会ったシスタは何故か長ジャージに半袖シャツ、そして麦わら帽子を被った姿で真心を出迎えるのだった。



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