戌 ―イヌ―
干支シリーズ第11弾、今回は犬である。
犬はペットとしてよく見られるが、野生にはいないので基本的には哺乳類調査の対象外である。野良犬はペットの
かつては一部の現場では犬、そして猫もノイヌ、ノネコという名で哺乳類調査の対象とされたこともある。
筆者も、現場で見かけたノネコの幼獣(ようするに子猫)の写真を撮ったりしていた。
詳しいことはよくわからないのだが、近年の調査では犬猫は普通対象外となっている。
まあ、明らかにペット由来のものなので仕方ないだろう。
◆
これまでも何度か書いたとおり、筆者は犬とは相性はよくない。
道を歩いているだけなのに、近くの家の犬に吠えられることはよくある。
この程度ならともかく、ひどい場合にはダム湖の対岸から吠えてくることもある。どれだけ広いなわばりを想定しているんだと文句の一つも言いたくなることもある。
あと、地方に行くと犬を放し飼いにしている家もあったりして、調査中に先に進めなくなることもしばしばあった。
以前も書いたが、一度はそれで谷から出られなくなり、山越えで脱出する羽目になった。
この話はこれぐらいにしておこう。
◆
さて、恒例の年賀状用のネタであるが……。
犬の名が直接使われている昆虫としては、寄生虫であるイヌジラミ、イヌノミくらいであろう。さすがに年賀状用としては使えない。
それと、植物にはイヌという言葉を含む種が多く、それを利用する昆虫もそのまま名前にイヌが含まれるものがいる。
例えば、イヌザクラコブアブラムシ、イヌビワカキカイガラムシ、イヌビワシギゾウムシ、イヌノフグリハバチなど。
これもやはり、年賀状のネタとはしづらい。
理由のひとつ目は、害虫が多いこと。
そしてもう一つの理由は、実は植物の名の『イヌ』のほとんどは犬ではない可能性があるということ。
イヌの名を関する植物であるが、植物が専門でない筆者でも名前ぐらいは色々と聞いたことがある。イヌビワ、イヌガラシ、イヌムギ、イヌタデ、イヌホオズキ、イヌビユ、イヌツゲ、イヌガヤ、イヌマキ、イヌシデなど枚挙にいとまがない。
この『イヌ』は役に立たない、言い換えれば人間からみて利用法や価値がないという意味らしい。このため、イヌは犬ではなく
例外的に、動物の犬が由来とはっきりわかっている植物もある。
その一つが、イヌノフグリの仲間だ。その名は
問題は、そのふぐりが
実はともかく、花の方は最近花壇でよく見かけるネモフィラを小さくしたような可憐なものだ。
というか、昔から校庭に生えているオオイヌノフグリをよく見ていたので、筆者にとってはネモフィラの方がオオイヌノフグリを超えた巨大イヌノフグリという感じである。
さて、年賀状の写真であるが、犬は飼っておらず、調査中に見かけた野良犬の写真もどうかと思うので、下ネタを嫌がる人でなければオオイヌノフグリの花あたりが無難かもしれない。
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