携帯電話
今でこそ携帯やスマホが全盛期であるが、筆者が新入社員だった頃にはそんなものはなかった。
若い人たちにはスマホのない時代など想像できないかもしれないが。
公衆電話もないような山の中でどうやって連絡を取っていたかと言われると、毎日仕事終わりに定時連絡をしていただけだ。
まあ今となっては公衆電話が逆に見かけないというか、公衆電話って何だと聞かれるかもしれないが。
一応簡単に書いておくと、誰でも使える公共の電話機だ。最低料金十円から使えるが、現場のように事務所から遠く離れてしまうと、手持ちの金がいくらあっても足りない。
こういう時に便利なのが、コレクトコールと呼ばれる通話料先方払いのサービス。要するに、会社の事務所に電話をすれば会社が通話料を払ってくれるのである。
ただし、現在は廃止され使えない。
まず、公衆電話を探す。そして106番に電話する。先に十円が必要だったたかは、記憶にない。
電話会社のオペレーター(交換手)に繋がるので、相手先番号とこちらの名前を伝える。
オペレーターは別途会社の事務所に通話をつなぎ、「◯◯様からコレクトコールのお申し込みがありますが、お繋ぎしてもよろしいですか」というようなことを聞く。
そこにはいと答えると、通話料会社持ちで連絡が可能となる。
この、通話先に自分の名を伝えるシステムは、いたずら電話に使われたせいでできたらしい。
いたずら電話を掛けられて、しかも料金自分持ちなんてたまったものではない。
◆
その後、携帯電話が普及し、一般人でも手が出せるようになり、筆者も個人で携帯を持つことにした。
問題は、当時からいくつかあったキャリアのどれを選ぶかだ。
すでに使っていた人たちから情報を得て、山の中でも繋がりやすいという理由で某社を選んだ。
別に宣伝や誹謗中傷をする気はないが、キャリア名は伏せさせていただく。
実際、同行していた上司や同僚の電話は繋がらないのに、自分の携帯だけは使える、という状況はよくあった。
このため、会社から上司宛の連絡が筆者の電話にかかってくるということも結構あった。
また、電波の中継所の数が少なかったせいか、同じ山中でもピンポイントでしか電波が繋がらないということもあった。
特に谷間を歩いていて別の谷間と合流するようなところでは、別の谷間の方からだけ電波が飛んでくるのか、通話中はそこから動けなくなることも多かった。筆者の電話なので上司の通話中は筆者も動けなくなる。
◆
そんな話も今は昔、かなり広範囲においてスマホで通話が可能にはなった。ただ、人里離れた場所で仕事をするこの業界の性質上、いまだに現場中にスマホが圏外ということはよくある。
キャリア間の差も小さくなり、スマホの貸し借りも少なくなった。
逆に、別の仕事の電話が現場中にかかってきて面倒なことになることも多いが。
社員の人を見ると、現場中に高頻度でスマホで話している人もいて、なかなか大変そうではある。
筆者はフリーランスなので、たまに 別の現場の打診とか、別の仕事の確認事項とかの連絡はあるが、数はそれほど多くはない。
そのためにフリーランスになったわけではないが、調査に集中できるという点では楽ではある。
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