永遠に、ぼくの心を……

『もう逢えぬ君に』

君が長い髪をかきあげる仕種に

僕は女を感じた


小春日和の真昼の匂いを漂わせ

春を待ちきれずに飛び出してきた蝶よ


君が髪を切ったのは何故だったのか


君が貸してくれた鉛筆を滑らせ

君の体温を僕は抱き締めていた

そしてポケットに忍ばせた


君の机にイニシャルの落書きを見つけ

僕のと同じだと知ったとき

僕は優しくなった


君からの葉書が舞い込んだ夏の日

『暑中お見舞い申し上げます』の文字に

僕の囚われの日々が始まった


僕の卒業アルバムに寄せ書きを拒んだ君

『あなたとは永遠の別れじゃないのよ』とうつむいた顔に

いつも笑みを湛えた唇は歪んでいた


僕は最後まで

『好き』と言えなかった


君の面影を求めつつ

いつしか今になった


だから、今、言うよ

君が『好き』だったと


永遠に、僕の心を伝えよう

もう逢えぬ君に


そして想い出は

心の奥に仕舞っておこう

夢が覚めぬように



    十七才の晩秋



         〈了〉


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