第86話 心のリハビリ

横井さんの病室を出たら、入れ違いで、女子高生が入ろうとしていたので、

私の直感が働いて、声を掛けてみた。


「すいません、もしかして横井さんの彼女さんとかでしょうか?」


「はい!そうです!」


「ちょっとお話いいでしょうか?」


「私にですか?いいですよ」


そう言って、近くにあった待合室で話をすることができた。


「私、横井さんのリハビリ担当の松本と申します。前回も担当してまして」


「あっ!そうなんですか」


「身体の方のリハビリは、私たちに任せてください!!ただ、心の方は彼女さんが支えてあげてください。1番の支えは、家族よりも好きな人だと思うので」


「はい!そのつもりでいます!強がっているけど、すごくストレスを抱えてると思うので、私も頑張ります!!」


「心強い彼女さんで良かった。横井さん、かなり凹んでいると思うので」


「そうですよね・・・・・2度目の入院ですからね・・・・・」


「前回、横井さんが、私にとっての初めての患者さんだったんです。何も文句も言わず、逆に褒めてくれました。心やさしいから横井さんには幸せになってもらいたい」


「大丈夫です!私がちゃんと支えますから、身体の方はよろしくお願いします!」


私と松本さんは、がっちり握手をして、仕事へと戻っていった。

私も、直樹の病室へと足を運んだ。

ノックをしても返事がなかったので、そっとドアを開けて入っていった。


よほど疲れてるんだろうね。直樹は眠っていた。

顔にも、擦り傷があり、左足にはギブス・・・・・・・・・・

痛々しくて、見てられなかった。


「こんなにボロボロになるまで仕事して・・・・・・・・・・」


私は涙を抑えられず、泣きながら直樹を抱きしめていた。




ん?・・・・・・何だか息苦しい・・・・・・誰かに抱きしめられている・・・・

この香りは・・・・・・一恵だ!


「あの~・・・・一恵さん・・・ちょっと息苦しい・・・・」


「あ!・・・ごめん・・・・起こしちゃった・・・・・」


「泣いていたの?・・・」


「直樹が心配ばっかり掛けさすから・・・・・もう・・・・・・(グスッ)」


「俺も、何が何だか分からなかったよ・・・・・急に車が突っ込んできたから」


「どんな人だったの??」


「いや・・・・全然わからない・・・・それどころじゃなかったからね」


「本当に危険なお仕事だよね・・・・・私、不安になっちゃう・・・」


しばらく一恵は、俺の側から離れようとしなかった。


「また、お弁当作ってくるから、待っててね♡♡♡」


「マジで!期待して待ってます!!」


俺は、一恵に心配ばっかり掛け過ぎだ!

当然、腐る気持ちはあるが、一恵がそばにいてくれるから、ちょっとでも前向きに考えようと、努力しようと思った。

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