第65話 悪い事は現実になる

めずらしく、夜に、哲が俺の家に遊びに来て、嫌な話を聞かされてしまった。


「直、一恵ちゃんから話は聞いたか?」


「え?、いや、何も聞いてないけど?何かあった?」


「そっか~。本人からは言えないかもな・・・・・・・・・実は・・・・一恵ちゃんが、不良と付き合ってるって、ちょっと学校で噂になってて・・・・・・・・・」


「それって・・・・・・・・・俺の事・・・・・・・・・・・」


「誰が言ったかは、まだわからないが、俺も頭にきてて、犯人捜しやるから!!」


「俺の事で・・・・・・・・・迷惑かけてしまった・・・・・・・・・・・・・」


「一恵ちゃんが、そんな子じゃないってのは、直が一番わかってるだろ!嫌な話だけど、やっぱり直にも言っとかないとと思ってさ」


「・・・・・・・・・・ありがとう・・・・・・なんか悪いね・・・・・・・・」


そう言って、哲は帰っていった。

俺の悪い予感は的中したわけだ・・・・・・・いつもそうだ。

いい事を考えても当たらないくせに・・・・悪い事になると、こうだ・・・・・・。

とにかく、俺からは何もできない・・・・・・・・待つ事だけしか・・・・・・・

安定してきた、俺の心を、また引き裂かれてしまった。




次の日の学校の昼食。

私たち女子3人と光武君とで、噂話の真相を話し合っていた。


「一恵ちゃんには悪いと思ったけど、昨日、直に噂の事を報告した」


「え・・言っちゃったんだ直樹君に・・・(ショックで考え込んでるだろうな)」


「俺、頭にきちゃってさ。いろいろ調べてみた。直の事を知ってるのは、同じ中学くらいだろうし、俺以外だと、3人しかいない。でも、その3人も、そんな嫌な奴じゃないし、噂を広めても、メリットがなにもない。だから違うと思うんだ。

一恵ちゃんは、何か心当たりはないの?」


「ん~~~~~。今の所、ないんだよね・・・・」


廊下を歩いてるだけで、ヒソヒソと話してるのがわかる。


「加藤さんって、不良と付き合ってるらしいよ~~~」


私の事はどうでもいい。ただ。直樹君の事を『不良』扱いされてるのが、すごく許せなかった。

部室で、噂の事を言ってきた女子に、誰から話がまわってきたのかを聞いてみた。


「ごめん、その噂って誰から聞いたの?」


「同じ部員の女の子から聞いたんだけど、私はそんなの信じてませんから!」


そうすると、部員の女の子たち5人が、私の所に集まってきてくれた。


「私たちも信じてませんよ~!誰があんな、でたらめな噂を流してるんだ!!」


そうやって、女子部員が話している時だった。

一人の男子部員と目があって、ニヤッと笑われているような感覚があった。

誰にも聞かれないようにと、小さな声で、女子部員たちから聞いてみた。


「みんなって、誰から噂話を聞いたの??」


その中の一人の子が、そのニヤッとしていた男子部員の名前を口にした。


「私は○○君から聞いたよ、それもすごくバカにしたような感じで言われた」


これは、ちょっと『調べる必要がある』と、直感させた。





仕事をしてても、何も身が入らない。

そんな中、田口さんが心配そうに話しかけてきた。


「先輩、どうしたんですか?そんな浮かない顔をして」


「俺って、そんなに顔に出るのかな・・・・・・」


「何か、取りつかれてるような顔をしてますよ~(笑)」


「ねえ、田口さん。俺の事ってどう思う??」


「え?(大好きです!!)ど・・・・・どうって・・・・・・」


「ほら、俺って高校も行ってないでしょ。やっぱり不良とかって思っちゃうのかな」


「イメージ的には、確かに悪いかもしれませんが、私は全然気にしません!!

そんな事を言う人は、ただのカスですよ!!気にしない事ですよ~~!!」


「はぁぁぁぁぁ」


「見てる人はちゃんと見てますよ!!(私みたいに)先輩が頑張り屋さんですごく真面目な人間って事をネッ!!」


「田口さんって、褒め上手だよね~。なんだか助かるよ~」


「だって本当の事を言ってるだけですよ~~!!」


「・・・・・・ありがとう!」


社会がわかってくれれば、今の田口さんの言葉を聞いてほしいもんだ。

イメージだけで、物事を言う人間が多すぎる。

そんな人間なんて『カス』だと、またネガティブに考え始めていた。

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