第63話 祭りリベンジで・・・

祭り当日。一恵ちゃんの方から、俺の住む駅前まで来てくれた。


「直樹君~~おまたせ~~♡」


なんとも、まぶしい姿で登場してくれた。

青系が好きな色だから、青色の水玉模様の浴衣姿だった。

まぁ、夏祭りの時と同じ浴衣なのだが、俺の彼女として、それも二人っきりってのもあるせいか、やたらテンションが上がってる俺だった。


「あれ?直樹君、メガネ掛けてるね・・・どうしたの?目が悪かったんだっけ?」


「俺の地元だから、同級生とかに見られたくないから、軽く変装してみた(笑)」


「そんなの気にしなくてもいいのに~~」


「俺、学生時代、友達いなかったから、『あいつだ』とか言われたくないのよ」


「まっ、いっか。メガネの直樹君も新鮮で、カッコいいよ~~♡」


「一恵ちゃんも、メガネ似合いそうだね!!」


「どうだろ~~~~。根暗に見られるかも~~(笑)」


そう言いながら、夜店がある方へと足を運んでいた。

そんなに数があるわけではないが、そこそこ、定番の夜店がある感じだ。


「あっ!私、フランクフルト食べたい~!!」


・・・・・・・・・・変な想像してしまうのは、俺だけか?・・・・・・


「夜店の食べ物って、値段は、ぼったくりだよね~。でも、なぜかおいしく感じられるのは、なぜだろう」


「それは、直樹くんと一緒に食べれるからだよ!!♡」


なんて、嬉しい事を言ってくれるんだ・・・・・・

ブラブラと回っていると、俺が昔、はまっていた型抜きが、まだ夜店にあった。


「おっ!!なつかしい~!子供の時よくやったな~型抜き」


「私、やった事ないや~~」


「値段が高い奴は、絶対に上手くいかないんだよね~~」


「久しぶりにやってみたらどう?」


「一恵ちゃんも、やってみなよ。マジで難しいから~」


「うん!やりたい!!」


そうやって、二人で真剣に型抜きをやっていた。

ある程度は、パキパキと手で行けるのだが、針を使う所で、いつも失敗してしまう。

性格上、俺には向いてないんだろう。すぐに失敗していた俺に対し、一恵ちゃんはすごく丁寧に、時間を掛けてやっていた。

そして・・・・・・・・


「できた~~~~~。これでいいの?直樹君!」


「まじで!!どれどれ・・・・ほんとだ・・・・これ400円のじゃん。すごい!」


「すごいの?最高はいくらのなの?」


「たしか、500円のが一番難しいはずだけど、これも、俺、成功した事ないよ」


「やった~~~~♡」


一恵さんは、見事に400円をゲットした。

その400円で、かき氷を1つ買い、ふたりで食べていた。


「私、彼氏できたら、かき氷を一緒に食べるってのを、やりたかったんだ~~♡」


「・・・・・・・確かに・・・・・めちゃ恥ずかしいけど、いいよね」


そう言って、二本のストローで、かき氷の甘~いシロップを、見つめあいながら飲んでいたら、二人とも、すごく顔が近くて、照れていた。


「そ・・・・・そろそろ花火が上がる時間かも・・・・・」


恥ずかしさの余り、俺の方から、逃げてしまった。


「そ・・・・・そっか~。・・・・直樹君、二人っきりで見れる場所ってある?」


「少し離れるけど、あることはある」


「じゃ~そこに行こう~~♡」


俺も、人ごみの中の花火ってのは苦手だから、少し離れて、二人っきりで見れる場所へと案内した。

ちょっと薄暗い所だが、人は誰もいない。

一恵ちゃんは、ちょっと怖そうだったが、『俺がいるじゃん!』的に、グッっと肩を抱き寄せ密着していた。

座布団を用意してくれたらしく、二人座って、花火の上がる時間を待っていた。


ヒュ~~~~~~~~ ドカ~~~~ン


「あっ!はじまったね!!」


二人は無言のまま、肩を抱きよせ、たまに、俺の肩に頭を乗せたりで、幸せな時間を過ごしていた。

クライマックスの連続花火になると、自然に、お互い見つめあって・・・・・・・


一恵さんとの、ファースキスをした♡♡♡


最後にでかい花火が、ドッカ~~~~~~~ンと、夜空を染めて、一恵さんの方から語りだしてきた。


「本当は、夏祭りの時に・・・・・・・二人で見たかったのに・・・・・・・・・私のせいで、ごめんね・・・・・・・・」


「もう、それは、言わない!!!」


「うん・・・・・・♡♡♡」



花火の余韻が残る中、一恵さんを駅まで送っていった。

これで、二人の仲を、一歩進めることができた。

夏祭りの妄想以上の事が出来て、リベンジを成し遂げることに、大成功の夜となった。

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