第62話 言ってほしかったけど・・

熱い夏も終わり、まだ紅葉には少し早いが、一恵さんはいつも通り、あの場所で、コンクールの絵を頑張って仕上げていた。


「一恵ちゃん、どうかな調子は」


「あ!直樹君。あの直樹君の絵を見てから、一皮むけたような感じがしてる!」


「頑張ってる所、悪いね・・・」


「どうかしたの?また何かあったの?」


そう言うと、今村さんの話を、一恵ちゃんにすべて話した。


「この事を、すぐに言うのか悩んだんだけど、変に心配かけたくなくて、結果だけを

今話してる。一恵ちゃんは、どう思うかな?」


「私は言ってほしかったかな~すぐに。だって、直樹君の事を信じてるから、そんな心配なんてしないもん!!

でも、直樹君が私に気を使って言わなかったんでしょ。

それはそれで嬉しいよ(ニコッ)」


とりあえず、ひと安心した。

でも、俺には心残りがもう1つある。

それは、夏祭りの花火を、本当は二人で見たかった事。

もう少しで、俺の地元で、秋祭りがあり、花火も上がるから、今度こそはと一恵ちゃんを誘ってみた。


「一恵ちゃん、今度、俺の地元で祭りあるんだけど、二人でいかない?」


「もちろん、行くに決まってるじゃない~♡ 花火も上がるの?」


「一応ね。そんな長い時間は上がらないけど。また一恵ちゃんの浴衣姿を見たいからさ(ニコッ)」


「あっ!!なにかHな想像してるでしょ~~~~(笑)」


「してないしてない~」


「冗談だよ~(笑) 直樹君は、はかまとか持ってないの?」


「そんなのは持ってないかな~。なんなら、ネクタイ締めて行こうか?(笑)」


「なんで、仕事着なのよ(笑)どうせなら、ピンクのエプロンの方がいいかな!!」


「そ・・・・・・・それだけは勘弁して・・・・・・・」


「え~~~~~(笑) すごく似合ってて可愛いよ~~~♡♡」


「いくら何でも・・・・・・恥かしすぎる・・・・・・・」


「冗談、冗談~~(笑)」


そうやって、秋祭りに行く事を約束して、二人は帰っていった。

これで、夏祭りのリベンジが出来る!!!


仕事中でも、自然と顔がニヤけているみたいだった。

そこに、田口さんから、手鏡をなぜか渡された。


「先輩・・・・・・・これで自分の顔見て見たら(笑)」


「え?なんで?」


「はぁぁぁぁぁぁ。もう、見てられませんよ~~~まったく・・・・・」


「なにが?」


「幸せそうで何よりです!!ごちそうさま!!」


なんだか最近は、田口さんの当たりが、強く感じられるようになってきた。


仕事で、商品のポップを書く事があるのだが、俺はめちゃくちゃ字が汚いから、いつも田口さんに書いてもらっていた。


「本当に、田口さんは綺麗な字を書くよね!!綺麗で見やすくて、すごくいいよね!」


「先輩・・・そんなに褒めても、何も出ませんからね!!(笑)」


「いや、本当の事を言ってるだけだよ。いつも助かってるよ~!!」


「仕事ですからね。(そんなにやさしくされたら・・・・諦められないじゃん)」


「田口さんも、早く告ればいいのに。大丈夫だよ、きっと」


「何を根拠に言ってるんですか~~~?」


「いや、田口さん、可愛いし、字も綺麗だし、言う事ないじゃん」


「それはそれは、ありがとうございます。(この鈍感な所が憎めない・・・)」



仕事の方も順調にいってる中、店長から「今から正月明けまでは忙しくなるぞ」とクギを刺された。

たしかに、クリスマスや正月って忙しそうだな。

とくにクリスマスは、どんな商品でも包装しないといけないらしい。

丸いボールとかも。

パートのおばさんから聞いた話じゃ、ほぼ客足が途切れることなく、ひたすら包装しないといけないらしい。


まぁ、そんな先の話より、今は、一恵ちゃんとの秋祭りの事で、俺は頭がいっぱいになっていた。

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