第56話 リスタート

いよいよ、リスタートの時がやってきた。

一応、見習いとはいえ、社員扱いなので店長から、カッターシャツとネクタイをしてくるように言われていた。

ネクタイなんて、1度もしたことなく、親からやり方を教わった。


他の従業員は、パートさんが3人だけという少なさ。

だから、慌てて雇ったのかもしれない。

緊張しながらも、初出勤へと向かった。


ざっくり、おもちゃ屋といっても、かなりの商品がある。

ベビー用品や男児、女児向けのおもちゃや、一般的なTVゲームにジグソーパズル。最初は、商品がどこにあるのかだけでも、探し回っていた。



働いて一週間くらいで、少しは落ち着いて働けるようになっていた。

心配だった、接客は、腹が立つ客もいるが、なんとかこなしていた。


「あの~すいません~」


「はい」


振り返って返事をしたら・・・・・・・加藤さんだった・・・・・・・。


「ごめんね・・・・驚かせようと思って~(ニコッ~)」


「びっくりした~。加藤さんが来ると思ってなかったよ~」


「わぁ~~。ネクタイしてるだけで、男性って格好よくなるんだね~」


「ネクタイなんて、初めてしたよ~。すごく息苦しくってね;;」


「あ~~~~~。ピンクのエプロン!!!かわいい~~~~」


そう・・・・・・・お店屋さんでは、エプロンってよく着けているが、よりによってピンクだなんて・・・・・・・

ネクタイを締めてからの、ピンクエプロンは、男にとっては、ちょっと・・・・・・恥ずかしい・・・・・・・


「加藤さん、恥ずかしいから・・・・・あんまり言わないで・・・・・・」


「すごく似合ってると思うんだけどな~~」


「そ・・・・・そんな事より、今日は買い物で来たの?」


「うん!筆をちょっと買いに来て、ここに寄ったんだ~。働いてる姿を見て見たかったからね(ニコッ~)」


「そっか~。もう夏休み入ってるからね~。うらやましい限りだ!」


「夏休みって言っても、何も予定がないんだよね~~~。そうだ!夏祭りにみんなでいかない?」


「祭りって、いつ?」


「8月の終わりの方・・・・・・まだ1ヶ月先だけど・・・・・・・・」


「そうだね。みんなとも遊んでないからいいかもね!」


「本当~!!じゃ~私が、みんなに連絡取っておくよ~~(やった~~~♡)」


「それじゃ~仕事に戻るよ」


「うん。ごめんね、仕事中に。それじゃ~ね~。バイバイ~~」


すごく嬉しそうに、加藤さんは帰っていった。

俺も、最近はいい事もなかったから、羽を伸ばして遊ばないとストレスがたまる。


身体の方は、まだまだ本調子ではないから、通院をしながら働いていた。



ある日、店長から、「今日、新しいバイトの子が入るからよろしく頼むよ」

と言われたが、俺もまだ入って日が浅いのに、頼まれましても・・・・・・・・・


17時になろうとしてた時、新しく入るバイトの女の子を紹介された。


「【田口真紀】です。よろしくお願いします!」


すごく元気そうで、ハキハキとしてる女の子だった。


店長から、俺たち二人に、荷物の検品作業をまかされた。


「田口さん、よろしくね」


「えっと~、名前教えてもらっていいですか?」


「ああ!!横井です」


「それじゃ~横井先輩!よろしくお願いします!」


「先輩って言ったって・・・・・・・俺もまだ入って間もない新人なんだけど」


「そうなんですか?」


「うんうん、2週間くらいだね~」


「それでも先輩なので、よろしくお願いします!」


すごく元気のいい女の子だな・・・・・歳は同じくらいに見えるが・・・・・・

聞いた方が早いか。


「田口さんは、高校生かな?」


「はい!高校生に成りたての1年生です!」


「そっか~。歳は1つ下になるんだね」


「横井先輩は、2年生ですか~!」


「・・・・・・・いや・・・・俺、学生じゃないから・・・・・・」


「そうなんですか~。それじゃ~社員さんなんですね」


「まだ見習いだけどね・・・・・・」


毎度の事ながら、この歳だと学生に見られるんだろうな・・・・・・・・

いい加減、『高校生じゃないから』って、言うのが嫌になってきた。

毎回毎回、心にクギを打たれるみたいで・・・・・・・・・・・・・・・

早くそれなりの歳にならないかな・・・・・と、強く心で思った。

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