第55話 おもちゃ屋さん

学生は、もうすぐで夏休みに入ろうとしてる中、俺は、今だに、就職が決まっていなかった。

あれから、もう5社ほど面接を受けたが、断られる理由はいつも同じだった。


『学歴もなく、バイク事故』 よほどイメージが悪いのだろう・・・・・・・・・


一度きりのターニングポイントを、俺は間違ってしまった訳だ・・・・・・・・・・

何度も何度も、同じことを言われ続けると、俺の心がもたない・・・・・・・・・

また、自分の殻に閉じこもってしまった。


加藤さんからのラインは頻繁にあるけど、大丈夫なフリをするから、そこでまた、心にウソをついてるから、めちゃくちゃ、情けなく、辛かった。


しかし、ここで逃げ出したら、中学の二の舞だからと、必死になって頑張って就職先を探していた。


次の面接を受けに行くが、やはり、同じことを言われて上手くいかなかった。

悪い事って、本当に重なるもので、面接の帰り道で、バイクが止まった。


「なんだよ!!ちくしょーーーーう!!」


故障かと思ったが、ただのガソリン切れ。

近くのスタンドまで、バイクを押していた。


「なんでいつも、こうなんだよ~~~~~~!!クソッ!!」


すべてが、空回りでうまくいかない・・ヤバイ・・・また・・・心が折れてしまう

また、ネガティブに考えながら押していると、加藤さんとデート?したショッピングモールの前だった。


もう、初夏で、ものすごく暑い。休憩にと、立ち寄った。

自販機でジュースを買い、ボーっとしていたら、従業員募集のチラシを見つけた。

よく見て見たら、おもちゃ屋さん。

人見知りで、人間嫌いの俺が、接客業なんて出来るわけがない。

でも、家庭用ゲームやプラモデルなんかは、中学までは人並にやっていたから、少しは仕事も出来そうな感じがした。


もうここまで来たら、ヤケクソだ。バイトでもいいから、とりあえず働こうと、お店に入り、パートらしきおばさんに、声を掛けてみた。


「すいません。従業員募集のチラシ見たんですが」


「あ~~。ちょっと待ってね。店長呼んでくるから」


そう言って、おばさんは、店長を呼びに行った。

バイトも断られたら、俺・・・・・・もう何していいか分からない・・・・・・・


しばらくたって、男性の店長が姿を現した。


「あ~~。すいません。お待たせして。とりあえずバックヤードでお話しますね」


そういって、建物の奥の部屋へと連れていかされた。


「店長の近藤です。チラシを見て来てくれたみたいですけど、歳はいくつですか?」


「16歳です」


「学生さん?」


「いえ、高校には行ってません」


「そうですか~。それじゃ~お昼も働けるわけですね。最初は見習いになりますけど、社員制度もあって、数か月で社員になれますけど、それでいいですか?」


「はい!大丈夫です」


「それでは、来週からでも大丈夫ですか」


「はい!」


「それまでに、一応、履歴書とか持ってきてください」


「わかりました」


なんだか、あっけなく仕事が決まってしまった。

接客には自信持てないが、迷ってもいられない状況だから、やるしかない。


加藤さんがすごく心配していたから、報告を兼ねてラインを送った。


「仕事きまりました。加藤さんが良く行く、ショッピングモール内のおもちゃ屋さんに」


しばらくたってから、返信が来た。


「おめでとう~!!え~~。私、良く行くから、今度でも顔出しに行かなきゃ~」


なるほど。仕事中でも、加藤さんに会えたりするんだ。

これはこれでいいかも。と、少しワクワクしていた。


ただ、やはり接客って所は、すごく引っかかり、不安しかない。

しかし、ハローワークの紹介も、また同じことを言われる可能性が高い。

決まってしまったから、と、腹をくくるしかなかった。

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