第46話 おまじない
ここ数ヶ月、休みも少なく働いてきたから、病院にいても、時間が経つのが遅く感じられ、退屈な日々だった。
痛みがあるから、そんなに動けないし、早く自由に動きたかった。
退院しても、また1から仕事探しもしないといけない。
やりたい仕事も無いから、どうしたらいいのやら・・・・・・・・
しばらくたってから、加藤さんが、またお見舞いに来てくれた。
「おじゃましま~す。どう?横井君、少しは痛みとか取れたかな?」
「いや、全然。リハビリやってても、まったく思い通りに動かなくて・・・」
「そうだよね・・・・・ストレスも溜まりそう・・・・」
「普通に動けるってだけでも、幸せを感じてしまうよ・・・」
「
そっか~。入院で何か困った事とかないの?
私に出来る事は、何でもするから(ニコッ)」
「困ったことは1つあるかな・・・・・」
「なになに??言ってみて!!」
「病院食が少なすぎてね;;何もしないで、ジッとしてるだけなのに、腹だけは空くんだよね;;だから、コンビニで買い物して、夜中に食べてるよ(笑)」
「あ~~~~(笑)。食欲があるんだったら、まだ大丈夫だよね(笑)
じゃ~今度来るときに、何か作ってくるよ!!」
「そ・・・そんな、悪いよ~」
「いいの!!私がやってあげたいんだから(ニコッ)」
本当にうれしかった。凍った心が、溶かされていくようで。
「横井君、左手出してみて」
「え?あ、うん」
加藤さんは、俺の左手を両手でにぎり、額をくっつけてきた。
「早く治りますように・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よしっ!」
「え?」
「お・ま・じ・な・い・(ニコッ)」
な・・・・なんて可愛い事してくれるんだ~~~~と、心で叫んでいた。
「そ・・・・そう言えばさぁ、コンクールの絵はどうなったの?」
「あの場所の、桜バージョンは、納得いく作品は描けなかったんだ~」
「そうなんだ」
「散るのも早いからね~・・・・・・それに色々と考え事もしちゃってたし・・」
「冬バージョンの方は、結果でたの?」
「ああ~。一応、佳作だったかな~」
「おお~~。一歩ずつ大賞に近づいてるね!!佳作でも凄いと思うけどな~」
「いやいや、まだまだ!これで納得していたら、それ以上先に進めないもん!」
「加藤さんも、頑張ってるから、俺もリハビリ頑張らなきゃ」
「無理せず、ゆっくりで良いと思うよ~。だってこの1年、頑張りすぎたんだから」
「ありがとう・・・・」
こんなに、俺の身体の事を心配してくれるなんて・・・・・・・・・・・・・・・
「じゃ~、あまり、長居も悪いから、これで行くね(ニコッ)」
「そんなことないよ~」
「今度は、差し入れも持ってくるからね(笑)」
「本当に、ありがとね・・・・・・・」
「じゃ~またね~バイバイ~」
加藤さんと居ると、安らぎの時間で、すごく元気をもらってる感じがする。
おまじないも、してもらったし、俺も頑張れる!そんな気がしてきた。
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