第24話 たら、れば

「一恵~~~~、おはよう~~~、どうだった?昨日は」


「おはよう~ゆうちゃん。ダメだった・・・・・・」


「えっ!!マジで!!」


「横井君、彼女できてたよ・・・・・・・」


「も~~~う。哲君が、探り入れないからだ~~~、文句言ってくる~~~!」


そうやって、ゆうちゃんは、光武君の所に、ダッシュで駆け出して行った。

入れ違いで、三月ちゃんが、教室に入ってきた。


「おはよう~~、一恵ちゃん。ゆうちゃん、どうしたの?慌てて(笑)」


「おはよう~~、三月ちゃん」


「どうだった?いまくいった??」


「それが・・・・彼女できてて・・・・」


「そっか・・・でも、まあ、焦る事もないんじゃない。男なんて沢山いるから!」

ありがとう・・・・・三月ちゃん」


確かに、沢山いるけど、どうも学生に、恋心は抱かないんだよね。

やっぱり、頑張ってる横井君を見ていたから、学生が子供に見えちゃってて。

向こうの方では、ゆうちゃんと彼氏が、言い合いをしていた。


「哲君がもっと探り入れないから、一恵が可哀そうな思いしたんじゃん!!」


「え~~~~~、俺のせいなの??」


「そうだよ~~~~!もっと、横井君を遊びに誘ったりしてれば、うまくいったんじゃん!!」


「そんな・・・・・・無茶苦茶な・・・・・」


私の事で、ケンカしてるみたいだったから、慌てて止めに入った。


「ゆうちゃん~~~~。もう、いいから~~~彼氏に怒っても仕方ないよ!!」


「いいや!!!一恵、黙ってはいられないよ~~~~こんなの!!!」


「私がモタモタしてたから・・・・・・・、私のせいだよ~~」


「だって、文化祭の時、二人、いい雰囲気だったじゃん!!遠くからだったけど、私たち見てたんだよ~~~~」


ふと、横井君が、文化祭の最後の方に、私に何か言いかけた事を思い出した。

あれは、何を言いたかったのだろう?・・・・・もしかして告白?

まさかね・・・・・ないない!


もし、そうだったら・・・・あの時に私から告白していたら・・・・・・・

また、たら、れば、を思い始めていた・・・・・


「わかったから~。今度、どんな彼女か、探り入れるから・・・勘弁してくれ・・」


こうやって、ゆうちゃんは、やっとの事で、落ち着きを取り戻した。


人任せではダメだ。私だって友達にはなってるんだから。

今日の放課後、次のコンクールのためにも、あの場所の、冬景色を描かなくちゃ、と、都合のいい事を言い訳にして、横井君にも会いに行った。


「あっ!加藤さん~描いてるね~」(普通に!普通にと言い聞かせてる)


「あっ!横井君。お仕事ご苦労様!」(よかった・・・・話しかけてくれた)


「今日も、寒いけど大丈夫?」


「大丈夫、ものすごく着込んでるし(笑)」


「本当に、いろんな顔を持ってるね~景色って」


「だから、描きたくなるのよね。同じ場所だけど、同じじゃないみたいな(笑)」


普通通りに話してくれる事に、少しホッとしていた。

さりげなくだけど、彼女の事を聞かないと、と思い、思い切って話を切り出してみた。


「よ・・・横井君の彼女って、どんな人なの??」


「え・・・・・あぁ。同じ会社の人って言うか。このスマホを買わされた人;;」


「ああ、そっか!好きな人に連絡したいのは当然だよね。納得、納得!」


「歳上なんだけど、俺の立場って言うか、すごく分かってくれる人で」


「歳上なんだ~~!やっぱり憧れってあるよね~~」


「加藤さんも歳上が好きなの??」


「私は歳上って事じゃなく、同じ歳でも、大人って言うかな。そんな人が好き(笑)」


ちょっと意地悪っぽく、強がって、横井君に言ってみた。


「今年のクリスマス、楽しそうでいいなぁ~。私は一人ぼっちだよ~(笑)」


「・・・・・・・・・そうかな?普通に仕事もあるし、年末だから少し忙しくて。どうなるか分かんないよ」


「でも、夜があるじゃん(笑) 燃え上がる夜が~!(笑)」


「アハハ・・・・・・・(加藤さんてこんなキャラだっけ?)」


そんな中、横井君のスマホが鳴った。


「あっ!なおき~~~♡。もう帰った~?」


「も・・もしもし・・・・ああ~今、仕事の帰り道ですよ」


「じゃー今晩、私の部屋で、イチャイチャしようよ~~~♡ 家まで迎えに行くから~~~~♡」


「わ・・・・わかりました・・・・・それじゃ・・・・・・」


私は作り笑顔をしながら、聞いてみた。(内心はジェラシーに燃えていた)


「今の彼女さん??」


「あぁ・・・うん・・・・」


「何か今日、予定が入っちゃった?」


「ああ・・・・・・夜にちょっと・・・・・・」


「そっか~。じゃー、暗くなるし帰ろっか~。またねー、バイバイ(ニコッ)」


そうやって、二人は別れて行った。

今はまだ、心の整理がついていない私。

だけど、つながりが無くなってしまったら、もっと辛い。


今は、友達でもいい。

この先の事なんか分からない。好きという気持ちも冷めるかもしれない。

ただ、真っすぐに、前を見ようと、心に誓った出来事になった。

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