第17話 モヤモヤ

心の中が、モヤモヤして、何だか集中しきれない日々が続いていた。

そろそろ、下書きも完成させなくちゃ、文化祭までに間に合わない。

気持ちだけが焦っていた。


昼食の時、ゆうちゃんが「情報入ったよ~」と話してくれた。


「なんか、残業で今、仕事が忙しいらしいよ~。帰りがいつも、9時過ぎとか言ってた。哲君が」


「9時まで仕事してるんだ~。それじゃ帰り合わないわけだね」


「いや~~~。社会人って本当に大変そうだ」


「だよね!!夏休みとかも短いだろうし、身体大丈夫かな・・・」


「お~~~!この気遣い!!もう、夫婦関係だね~~、一恵!」


「も~~う。まだ、そんなんじゃないから~~~」


二人で話していたら、三月ちゃんが、ニヤニヤしながら入ってきた。


「あれ~?三月、何、ニヤついてるんだ~~」


「私にも、春が来た~~~~!文化祭の準備してた時、告白されちゃったのだ~」


「お~~~~~!相手はどんな人~~??」


「同じクラスの、○○君なんだけど、あんまり話した事ないから、今は友達からってOKしちゃったんだけど、すごく、やさしくて、良い人なのよ~~~♡」


「なんだよ~~もう、惚気話じゃん(笑)」


はぁ~。私も早く誤解を解いて、横井君と話したいな~~と、つくづく思った。

ただ、私を避けてた訳じゃないって事が分かったから、落ち込んじゃいられない。

今は、文化祭に絵を間に合わせなきゃ!と、筆を進めた。




会社の上司から、また、追加発注を頼まれた。


「横井君、この部品と、この部品。追加かかったから、よろしく頼むよ」


「はい、わかりました」


休日返上で、約一ヵ月。こんな状態が続いた。

昼休みの今村さんも、グチのオンパレード。

人間、休まないと、やっぱり余裕が失われる。


「あ~~~~ん、も~~~~~う!休みくらいほしいよね~~~!」


「確かに・・・・社畜すぎるのは勘弁ですよね」


「少し、落ち着いたら、遊びまくってやる~~~~~~!」


「でも、田中係長も、もう少しで落ち着くとは言ってましたよ」


「じゃー、もうちょっと頑張ろうね直樹君!落ち着いたら、私にご飯おごってね!」


「え?なんで?」


「も~~う、つれないな~~。な・お・き・君は♡」


いつも通りの今村さんで、なんか安心した。


あの日以来、加藤さんと会ってもいないし、話もしていない。

やっぱり、彼氏で、仲良くやってるんだろうな・・・・・・・・・

俺から、電話しても、迷惑になるだけだろうと思い、連絡もとれない。

心のモヤモヤを、打ち消すように、仕事に励むしかなかった。

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