第16話 偏見

何か、今月は急に仕事が忙しくなっていった。

3時間残業が当たり前な日々で、帰りはいつも9時を過ぎる。

まぁ、加藤さんと、ちょっと顔合わせずらいから丁度よかったのかも。

唯一の楽しみは、昼休み中の、今村さんとの会話だけだ。


「っもう~~~~。今月、忙しすぎるよね~~~」


「そうですね;;」


「ヤッても、ヤッっても、終わらないね~~~直樹君♡」


「そうですね。(何か意味深な発言だな)」


「あ~~~。今、Hな事、思い浮かんだでしょう~~~」


「え・・・?何がですか?(顔に出てた?ヤバイヤバイ)」


いつも通りに、からかい始める今村さん。


「さすがに、こう毎日残業が続くと、遊びにもいけないよぅ」


「ですよね。俺も、家に着いたら疲れて、すぐ寝ちゃいますよー」


「え~~寝ちゃうの~~。もったいない!青春は今だけだぞ~ぅ。遊べるうちに遊んでおかないと~~」


「まだ、見習い中だけど、やっと仕事にも慣れてきて、一人で任されるようになったから、今は結構、充実していますよ」


「お~~~~~!!かっこいいね~直樹君♡」


「お金も貯めていかないといけないですし」


「へ~~!お金貯める理由があるんだ~直樹君は」


「そりゃー、俺だって男だから、いい車ぐらい乗りたいですよ」


「だったら、でっかい車ね!!私、狭っ苦しい車は、い・や・よ♡」


「な・・何言ってるんですかー。乗せませんよー」


「あ~~~~~。そんな事言うんだ・・・・お姉さん、悲しいな~~」


今村さんは、どこまでが本気なのか、性格が全く読めないから戸惑うばかり。

でも、こんな会話が、疲れを癒してくれるのも確かだった。



一方、一恵の方は。


あの日から、横井君の姿が見えないことに、落ち込んでいた。

やっぱり、誤解されてたんだ。あんなクズ野郎のせいで。

昼食の時間に、ゆうちゃんに聞いてみよう。

彼氏から何か、横井君の事、聞いてるかもしれないから。


「ゆうちゃん、ちょっと聞きたい事あるんだけど」


「一恵、どーーした?」


「彼氏から、何か横井君の事、言ってなかった?」


「え~~~~。なになに?告白でもしたの一恵」


「してない!してない!ただ、最近、帰り道で姿見なくなっちゃったから・・」


「ん~~~~。特に何も聞いてないけどな~」


「そっか、ならいいんだ」


「何があったの~~~~!私に話してみなさい~~!」


ゆうちゃんに、誤解されてる事を話した。


「あ~~~~。それは、勘違いされるかもね~~~」


「そ・・そうかな・・・・やっぱり」


「それとなく、哲君に、探り入れてみるよ」


「ありがとう~ゆうちゃん!」


「横井君の話なら、少しくらいは情報あるよ~~、一恵」


「えっ!!なになに!!」


「一恵はもう、横井君に恋しちゃってるね(笑)」


「やだぁ~もぅ・・・・」


「横井君って、すごく運動神経よくって、中学の時、体育の神様って言われてたらしいよ~。何でもスポーツできたって~~~」


「あっ!そんな感じする!」


「でも、何か、ケガしてから段々変わっていったって、哲君は言ってた」


「ああ~~!うんうん。それは本人から聞いた」


今も、偏見な目で見られることに、たぶん苦しんでいるんだろうな・・・・

とにかく、早く誤解を解かないと!

でも、私から電話するにも、そんな勇気もない。

今は、ゆうちゃんの彼氏に期待するしかないと、ただただ待ち続けた。

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