これぞジュブナイル、と言える小説を久々に味わいました

理不尽な能力を押し付けられる主人公。
いいことなんてひとつもなく、自身の未熟さもあって事態は多少良くなってもまた後戻り。

そんな中でも、なんとか自分の出来る範囲で足掻く少年。
もう応援するしかないでしょう。

そして登場人物たち。良くも悪くも印象的で、良くも悪くも非常に人間的。なんというかリアル以上に人の悪い面というものを突きつけてくる感じがして、主人公が不憫過ぎる(だからこそ、より主人公やヒロインが切なく魅力的に見えるのでしょうが)
特に主人公に能力を授けた二人。勝手に能力押し付けて、上手くいかなければ酷い扱い。本当、見ていてイライラする。ぶん殴ってやりてぇ……と感情を揺さぶられてしまいました。

純粋なハッピーエンドではない、これからの主人公やヒロインの学校生活を思うと「人間ってやつは……」などと思わないこともないけど、これもまた本作の魅力です。

色々と心に爪痕を残してくれる物語でした。



本当、ふたりには幸せになってもらいたいなあ。付き合ってほしいとかじゃなく、ただ幸せになって欲しい。

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