第28話 仲直り
「つっちー。」
恐る恐るふるえた声で話をかけてくる声が聞こえた、この声は聴き慣れている。
だからなかなか返事ができなかった。
「つっちー…?」
「あ、な、なに?!」
返事がぎこち無くなってしまった。
なんでこんなにも緊張してるんだろう。
「あの…さ」
「うん、なあに?」
なにを言われるんだろう、怖いな…
「この間は…」
やっぱり…。
「その…」
「?」
「この間はごめん…!」
驚いた。
こんなにも大きな声でしかも頭を下げて謝られるとは思ってなかったから。
「え…?」
「昨日優ちゃんからいろいろ聞いたんだ。」
「どういうこと?」
優ちゃんから聞いたってなに?
私何も優ちゃんに話してないよ?
「その…」
「教えてくれる?」
「つっちーにはお父さんが居るのか居ないのか分からないけど多分父の日の参観日にお父さんが来れなくて寂しくて苦しい思いをしてる時に私たちがお父さんは?って聞いてしまった事がつっちーにとって嫌な事でそれなのにそれに気づかずに私たちが興味があるかのようにやってしまったからあぁなったんだよって」
え?どうして優ちゃんが知ってるの?
「そっか、でもね。」
「うん?」
「私優ちゃんに話してないよ」
「えっ?!」
「優ちゃんに聞いてみよ?」
「うん。」
私的には謝罪されたことも驚きだけど優ちゃんが知ってる事が怖い。
どうして知ってるの?
「優ちゃん。」
「あっ、2人とも仲直りできたんだね!」
「うん、仲裁してくれてありがとう!」
「ううん!」
「そんな事より聞きたい事があるの」
「うん、知ってるよ。」
「え?」
「どうしてお父さんことを知ってるのか知りたいんでしょ?」
何この子?
どうして分かるの?
「何となくだよ。父の日の参観日につっちーが悲しい思いをしてるような表情をしてた、だけど確信がなくて真衣乃ちゃんが聞いてるのを止めずに見てた。そしたらどんどん苦しく悲しそうな顔をしたから。それに…」
「それに?」
「私もお父さんがいないの。生まれたかいないの。」
「えっ?!」
「私のお父さんは生まれつき死んじゃってるの。交通事故で。」
「そっか…」
「だから共感力というかなんとなく!」
「そうだったんだ…つっちーも優ちゃんも父の日の参観日苦しかったんだね。ごめんね。」
「ううん、いいんだよ。優ちゃんも真衣乃ちゃんも知らなかったんだもん」
「私こそ2人にごめんなさい」
「「え?」」
「分かってたのに真衣乃ちゃんを止めなかったし分かってたのにつっちーを慰めなかった。」
「「あー。」」
「「そんなこと気にしなくていいよ」」
「え?」
「だって、私と真衣乃ちゃんを仲直りさせてくれたのは優ちゃんでしょう?」
「「ありがとう」」
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