第68話 差し押さえ

「ん…ここは…?」

辺りを見回すとそこは森だった。

「あれ?…あ〜ゴブリン狩った森か」

 少し歩くと森が開けてきて門が見えてくる。


「しばらくぶりだな」


「キャラ変更リリス」

人目につく前にキャラをリリスに変更する。




「…はい次の…!!?」


「…ん?」

自分の番が来たのでタグを用意して差し出すも守衛が受け取ってくれない。


「な、なんで…!?」


「…いや帰ってきただけだけど?」

 守衛は慌ててどこかに走って行ってしまい取り残されてしまった。


「…は!?」

 その様子を啞然と見送ると列の後ろからガヤガヤ騒ぎ始め収集がつかなくなった所に「なんの騒ぎだ!」と守衛所から別の職員がやって来てようやく対応してくれた。


「一体何なんだあれは?」


 家に行く前にギルドに寄ったがアニタの姿は無かったので取り敢えず家に帰る事にした。






「…なんじゃこりゃ…」

 家につくと辺りが様変わりしていた。具体的には…

「…差し押さえ!?」

赤い札が門にかけられていた。





(ケロちゃん今どこにいる!?)

(ご主人の家の中にいます。)

(え?中にいるの?)


 門を飛び越え中に入り少しビクビクしながら玄関のドアを開ける。

「…中はとくに変わってないな…」

 元の世界だと差し押さえと聞くと家の中も差し押さえの札がそこら中に貼ってある印象だったが、ぱっと見そんな様子は無い。


(ケロちゃんどこ?)

(突き当りの部屋です)

「突き当り?」

あれ?そんな所に部屋あったっけ?


 ケロちゃんの言うとおりに奥に向かうと見覚えの無い扉が壁にできていた。


「なんじゃこりゃ…」

恐る恐る開けるとそこには…



「脱衣場?」

ガラガラと言う音とともに女性が反対側の戸から入ってくる。


「「え?」」


「…お姉様?」


「…えーとただいま。」


「お姉様!!」

 風呂上がりのアニタがそのままの姿で抱きついて来た。

ちょ!服着て服!






 アニタが落ち着くのを待っている間にケロちゃんに詳しい話を聞くと…


「…ローカスの件で報奨金が出て風呂を作った!?」

 パーティ登録してあるから不在の俺の代わりに二人に報奨金が入ったのか…


(はい。クレア殿がリリスが居ない間に風呂が無いと不便だと言って…)


「だから増設されてるのか…ってそんなに凄い金額が出たのか?」

(1000万ほどだったかと…)

「…わお…」

(死んでるかも知れないというのもあったようですが…)

「見舞金みたいなものか…」


「そういえばクレアとセレスは?」


(一月前ぐらいに王都に向って旅立たれました。)


「王都に?」


「はい。シャリア殿を送る為とかで」

…あーそう言えば押し付けてったなお姫様。


(…それでここからが本題なのですが…)


「ああ、ここの所有権を主張している人がいるって話だったけど…なんか差し押さえになってたけどそのせいか?」


(はい…正確に言うならご主人の叔父と名乗る男とご主人の旦那だと名乗る男と娘が…)


「…は?」

俺元の世界でも一人っ子だけど?


(叔父を名乗る方は幼少期の肖像画を持ち込んで来て、旦那を名乗る方は遺書と土地の権利書を…)


「…俺遺書なんて書いてないし…ここに権利書もあるぞ!?」



「でなんで差し押さえなんだ?」


(それがご主人の借金の方だと金貸しが…)


「…借金をした覚えも無いのだが…」


(そうですか…すると)


「少なくとも3人がここを狙っていると言う事か……」


「…おそらくこの件には商人ギルドも関わっているかと」

 ようやく落ち着いたアニタが衝撃の一言を呟いた。


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