第48話 黒犬vs白銀狼
「これがカルーア平原…」
どこまでも続く地平線テレビで見たサバンナのような光景が広がっていた。
「リリスはこっち側来るの初めてなの?」
「うん、この町来てからストラ山と森ぐらいしか行ってないから」
「ん?…ふーん」
ん?セレスが何か考えているようだが特に何か言ってくる事は無かった。
歩みを進め町が見えなくなってきた頃
「二人ともそろそろ気を引き締めないと」
先頭を歩いていたセレスが駄弁っていた私たちに注意を促す。
「わかってるって…この辺りから盗賊とか魔物が出るからね」
「魔物はともかく盗賊?こんな見通しのいい平原で?」
たまに木が生えているがそんなに大人数が隠れられるような場所は見当たらない。
「何でもその辺に穴を掘ったりして隠れていて行商人とか女性を襲うらしいわ」
「…努力の方向間違えてるだろうそれ…」
魔物がいる平原に穴を掘って隠れるぐらいならハンターでもやってろよ…
「…炙り出してみるか」
久々にセリアにキャラ変更する。
「ん?リリス何やるの?」
「ちょっと揺れますから気を付けて下さい」
両手剣を振りかぶりながら高く飛び上がる。
「<アースシェイク>!」
<アースシェイク>
片手剣、両手剣スキル
剣を地面に叩きつけ衝撃で範囲半径10mにダメージを与える
ゲームでは地表の敵にダメージを与える技…というより地中に敵が発生する事が無かったから定かでは無いが地震で発生する衝撃をより地面を伝わる衝撃の方が強く広い…はず。
「うわ!ちょ!」
「ゆ、揺れ…」
その場にへたりこむ二人をよそに少し離れた地点で悲鳴が上がる。
「ギャーッ!」
「グワァー!!」
「え!?何!?」
約50m位先の方から男の叫び声が複数上がる。
「いたみたいね」
キャラ変更でリリスに戻す。
街道脇の地面から男たちが這い出してきた。
「ひーふーみー…20人位かな?」
「20!?もしかして黒犬!?」
黒犬?何それ?
「黒犬って何?」
「この辺りで1番大きな盗賊団よ」
「盗賊団ねぇ…」
ゲームでは人型の敵やボスはいたがPVPはイベント以外基本存在しなかったからな…
「ちょっと二人とも!武器を構えて!」
盗賊達は軽い怪我をしたり、ふらつきながらもこちらに向かってきていた。
「え!?後ろからも!?」
挟み撃ちの算段だったのだろう後ろからも同様な姿の盗賊が10名ほどこちらに向かってきた。
「くっ!囲まれた!?」
「ちっ!妙な技使いやがって!手間かけさせるんじゃねぇよ!」
頭目なのか一人の男が前に出ながらぶつくさ文句をいいながら取り囲むように指示をだす。
「さあ!逃げ場は無いぜガキども!大人しくしな!」
「ふふふ…」
…また自分の病気が始まった事に気がついてはいるが抵抗しようにも口が勝手に動き出す。
「な、なんだこのガキ…?」
急に笑いだした俺に少し怯む頭目。
「ははは!黒い犬コロ風情が白銀の狼たる我に敵うわけ無かろう!己の愚行を悔いるがいい<フレイムサークル(10)>!!」
<フレイムサークル>
マジックスキル
自分の周囲に侵入した敵を燃やす結界を張る
この時の範囲威力はスキルレベルに比例する。
「「「ぐぁぁあ!!」」」
周りを囲んでいた男たちが火だるまになって逃げていく。
「ふははは!!地獄の業火に焼かれるがいい!!」
「「あ~久々に見た…暴走リリス…」」
言わないで客観的に見てる俺が1番恥ずかしいから!
「でも白銀の狼か…いいねそれ!」
「…まあこの前のよりはマシよね」
あの~お二人さん何の話を…?
「パーティー『白銀の狼』うん決定!」
…わ…ちょっと…
結界の外側にいた数名と端側にいた何名かには逃げられてしまったが頭目と30名ほどの捕縛には成功したがこのまま村に向かうのは難しいので一度出直す事にしたのだが…
「はい、パーティー名の登録が完了しました!」
…パーティー名が正式に『白銀の狼』になってしまった…
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