第863話 2022/2/23 ウクライナ情勢

 本日は10時起き。寒い天皇誕生日。各地で大雪が降っている。胸の内の不安はドンドン大きくなり、何もやる気にならない。ここ数日、一日中ニュースばかり追っている。ネットでは呑気な希望的観測を振り回す連中が多々見られるが、現実はシビアである。ああいった見解はこの先ことごとく外れるだろう。まったく困ったことに。


 22日、ロシアのプーチン大統領は記者会見において、ミンスク合意は失われ、ドネツクとルガンスクの親ロシア派勢力に対して条約に基づき軍事支援を行なうと述べた。なおその際、「今すぐ部隊が行くとは言っていない」とも述べたのだが、22日の時点でロイターがドネツクで戦車など軍用車両の車列を撮影している。どの軍に所属しているかを示す「記章」は確認できなかったとのことだが、2014年クリミア半島に展開したロシア部隊にも記章はなかったと言われている。

 インタファクス通信の報道によれば、ロシアのラブロフ外相は22日、

「2014年のクーデター以降、ウクライナの政権が領土に暮らすすべての人々を代表していると考える人はいない」(ロイター)

 と、ウクライナの政府は構成地域を代表していないと主張した模様。つまり、いまのウクライナには主権がそもそも存在していないと言うのだ。言うまでもないが2014年にウクライナで行なわれたのはクーデターではない。国民運動によって親ロシア派政権が打倒されたのである。

 これはラブロフ氏の個人的見解ではあるまい。おそらくはプーチン大統領がそういう理屈を捏ねているのだろう。ならばプーチン氏の目標は、一部の人々が言うようなドネツクとルガンスクの実行支配とは思えない。それで終わる訳がない。ウクライナという国家の解体とロシアへの吸収が目指すべき最終的解答なのだ。

 ウクライナの次はリトアニア、ラトビア、エストニアのバルト三国を狙うだろうと言われているのも無理からぬこと。もはやプーチン大統領は傀儡政権を立ててNATOとの間に緩衝地域を作るとか、そういう次元では考えていないのではないか。もしソ連の版図を現代に復活させようと真剣に考えているとしたら、それをいったい誰が止められるだろう。


 ロシアがドネツクとルガンスクの勢力を一方的に独立国家として承認した直後は「まだ軍事侵攻したとは言えない」と及び腰だったアメリカのバイデン政権は、21日に親ロシア派支配地域へのアメリカ人の新規投資などを大統領令で禁じたものの、さほど厳しい態度ではなかった。

 だが、ロイターの報道が効いたのか、それとも他に何か証拠を握ったのだろう、22日には一転してファイナー大統領副補佐官がCNNに対し、ロシアの決定は「侵攻の始まりだ」との見方を示した。そして同日バイデン大統領がホワイトハウスで演説し、開発対外経済銀行(VEB)などロシアの銀行2行のほか、プーチン政権高官とその家族を制裁対象に指定して、

・アメリカの金融機関との取引禁止

・アメリカ国内の資産凍結

・ロシア政府発行の債券(ソブリン債)の取引を制裁対象とし、海外市場での米ドル資金の調達を制限

 などの制裁措置を追加で発表した。

 また同日イギリスは、ロシアの銀行5行と富豪3人のイギリス国内にある資産を凍結、ドイツは天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の計画停止を表明した。

そして翌23日、日本の岸田首相は、

・いわゆる2つの共和国(ドネツクとルガンスクの親ロシア派勢力)の関係者の査証発給停止と資産凍結

・いわゆる2つの共和国との輸出入の禁止

・ロシア政府による新たなソブリン債の日本での発行・流通の禁止

 といった制裁措置を表明。

 ハッキリ言えば、どれもこれもロシアにとっては従来の経済制裁とさほど変わりはない。極端に困って軍事侵攻を停止せざるを得ないような事態にはまずなるまい。特にドイツなど、場合によっては先にドイツの方が音を上げることにもなりかねない現状である。

 この辺、自由と平等と基本的人権の尊重を錦の御旗として掲げる欧米や日本は立場が弱い。まして相手は核保有国、モスクワにミサイルを撃ち込めば話が終わる訳ではないのだ。そのことを誰より一番理解しているのは、おそらくプーチン氏だろう。これは極めて危険な状態だ。ウクライナ一国の問題ではない。民主主義は役に立たないというメッセージが世界中にバラ撒かれているのだから。次に動こうと画策している国は、いまじっと推移を見つめているに違いない。


 この件で中国はいまのところ目立った動きを見せていないが、まあそれはそうだろう。ロシアの敵に回る必要はないし、かといってアメリカの味方をするメリットもない。中国としてはこの対立でロシアとアメリカ双方が国力を削ってくれれば一番有り難いのだから。

 ロシアのウクライナ侵攻に合わせて中国が台湾を取りに来るのではないかという言説が流れていたが、少なくともいまの状況を見る限り、中国はすぐには動かないかも知れない。まだウクライナ軍が動いていないからな。ウクライナ軍がロシア軍を攻撃し――それがロシア側の一方的な発表であったとしても――ロシア軍が本格的に侵攻を開始したとき、アメリカがどう動くかが見たいのではないか。

 そこで迂闊にアメリカ軍が、あるいはNATOが参戦し、ウクライナが泥沼の状態になったとしたら。台湾侵攻はそれを確認してからでも遅くはない。さすがにアメリカもそこは理解していると思うのだが、残念ながら現在のトップがバイデン大統領である。致命的な判断ミスを犯す可能性は無きにしも非ず。

 中国と言えば21日、日本大使館の職員が北京市内で身柄を一時拘束されている。これが直接的に何か関連するとはさすがに思わないものの、観測気球を上げて出方を見ているのやも知れない。日本側は22日、外務次官が中国大使に謝罪を要求し厳重抗議したものの、これに対し中国側は23日、

「日本の外交官は中国でその地位にふさわしくない活動を行っており、中国の関係部門が法律に基づいて調査を行った。中国は日本側のいわゆる抗議を受け入れない」

「日本側は中国の法律を尊重し、中国にいる外交官の言動を厳に慎むべきであり、その地位にふさわしくない活動を行ってはならない」(以上NHK)

 と大使館が談話を発表している。ただの嫌がらせとは思い難い。言うまでもなくウィーン条約では事務・技術職員を含む外交官の不逮捕特権、および大使館の不可侵権などを認めており、中国もこの条約を批准している。今回の身柄拘束は明らかな条約違反なのだが、それをあえて無視したように見えなくもない。そう遠くない将来に何らかの動きを見せるための小手調べなのだろうか。


 本日はこんなところで。はあ。ため息ばかり連発している。嫌な空気が気になって集中力が続かない。勘弁してくれよと思うばかり。何とかならんものか。

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