第819話 2022/1/10 地獄の門

 本日は6時半起き。3連休の最終日である月曜日で成人の日。もしかして小説投稿サイトユーザーは20歳が多かったりするのだろうか。「老い花の姫」のPVが、なろうもカクヨムも昨夜は激減した。まあ今後この低い数字がずっと続く可能性もある訳だが。現時点で接続障害の情報はない。

 それはともかく、本日10日は十日戎の本戎。えべっさんに行って来た。金がないので飾り物は一番安いヤツに。とは言え3500円するのだが。昔はもうちょっと安いヤツがあったように思うのだがなあ。何とも世知辛い。


 寒い。冬なんだから当たり前だろうと言われるかも知れないが、当たり前だと理解したところで寒さが和らぐ訳ではない。そして困ったことに、寒いと人間は死ぬからな。死にそうな思いをするのではなく、本当に生命活動が停止してしまう。だから何とか暖かくせざるを得ない。そのおかげで電気代がとんでもない金額になる。ああ、冬なんてなくなってしまえばいいのに。

 しかし冬がなくなると、困ったことも増えてくる。地球レベルで見れば、気温や気圧の変動で生まれる空気の流れが起こらなくなるし、それは海流にも影響を与えるかも知れない。冬がなくなる反動で夏が涼しくなってくれれば虫けら的には助かるものの、農作物は育たなくなる。そして実際には冷夏ではなく酷暑がやって来る可能性もある訳だ。虫けらは夏の暑さも大嫌いだからな、これは勘弁してもらいたい。

 冬がなくなれば極地の氷も溶け、生態系にも多大な影響を与えるだろう。よく「北極の氷が溶けても海水面は上昇しない!」とか言う馬鹿がいるが、北極の氷が溶ける状況で南極の氷が溶けないと何故思えるのだろう。北極の氷が溶けるようなことになれば、自動的に南極やグリーンランドやシベリアの氷も溶けるのだ。ヒマラヤやアルプスの氷も溶けるかも知れない。世界は繋がっているのだという当たり前の事実が理解できないヤツがいることが理解できない。

 まあそんな訳で冬は本当に大嫌いなのだが、なくなってしまうのも困る。不満はあるが我慢せざるを得ない。せざるを得ないのだが、「最高気温5℃!」とか天気予報で言われるとブチ切れそうになるところ。東北とか北海道とか絶対に住めない自信がある。

 そんな訳で地球温暖化である。脱炭素社会とかぶち上げられて、「二酸化炭素の排出を削減しましょう!」みたいな言説がまかり通っている現状。いや、別に二酸化炭素排出削減に反対したい訳ではない。地球温暖化は可能な限り食い止めるべきであろうし、あらゆる温室効果ガスのうち、排出量の75%以上を二酸化炭素が占めている現状である、二酸化炭素の削減は当たり前なのだろう。

 ただ、75%は二酸化炭素なのだが、16%くらいはメタンなのだ。「75%の方が圧倒的に多いじゃないか」と誰もが思うだろう。しかし、どの物質がどの程度温室効果を生みやすいかを示す地球温暖化係数で見ると、二酸化炭素を1とした場合、メタンは25である。つまりメタンは二酸化炭素の25倍も温室効果が高い。排出量的に見ればメタンは二酸化炭素の5分の1だが、これに地球温暖化係数をかければ、現時点においてメタンは二酸化炭素の5倍の温室効果を地球に与えている。なら、本当に削減すべきはメタンなのでは?

 もちろん学者も政治家も馬鹿ではない(中には馬鹿もいるが)。メタンの削減にも乗り出してはいる。過去に話題となった例を挙げれば、牛のゲップを削減しようという主張があった。牛を始めとする反芻動物は、胃の中で食べた植物を発酵させるためにゲップを出すのだが、この中にメタンが含まれているのだ。

 とは言え、メタンの発生源は牛のゲップだけではない。生ゴミからも発生すれば、田圃や畑から自然発生もする。油田から石油を採掘しようとすれば天然ガスが湧き出すが、この中にもメタンは含まれている。メタンが二酸化炭素と違うのは、燃料として簡単に利用できる点である。日本の周囲の海底にはメタンが固体化したメタンハイドレートが大量に埋蔵されており、これは次世代の燃料として期待されている。

 メタンが燃えると二酸化炭素と水を排出するが、上記の通り二酸化炭素の地球温暖化係数はメタンの25分の1しかない。メタンは空気中に放出するより、燃やした方が圧倒的に温室効果は低いのだ。

 さて、トルクメニスタンは中央アジアの旧ソ連構成国。イランとアフガニスタンの北側にあり、カザフスタンとウズベキスタンの南側にある。国土の大半はカラクム砂漠だ。この国のベルディムハメドフ大統領は7日、政府の会議において、ある命令を出した。「『地獄の門』を消火せよ」というのだ。

 別にファンタジー小説のタイトルではない。トルクメニスタン領内の砂漠の中に、地獄の門と呼ばれる最大直径60メートル、深さ20メートルほどになる大きな穴があり、その中でかれこれ50年ほど火が燃えさかっているらしい。これを消火せよとの命令である。

 延々と燃え続けていることからもわかるように、ここには天然ガスが湧き出している。一説によれば1971年、当時のソ連の地質学者が地下の空洞に天然ガスがたまっているのを発見、掘削施設を建てて掘ってみたところ、空洞の上にあった地面が施設ごと崩落し巨大な穴が生まれたのだそうな。

 当然、穴の中には天然ガスが満ちており、このガスが流出して周囲に被害が出ることを危惧した地質学者が火をつけた。そのときは時間とともに火は収まると考えられていたのだが、湧き出すガスの量が想像を超えていたのだろう、現在も燃え続けている模様。

 消火命令を出したベルディムハメドフ大統領はこの地獄の門について、地域の生態系や住民の健康に悪影響を及ぼし、国の繁栄のために利益を得ることができるはずの天然ガスを無駄に消費していると主張している。言いたいことはよくわかる。ただ、これは言うほど簡単な話ではない。

 ただ火を消すだけでは意味がないのだ。火だけ消しても天然ガスが漏れ出し続ければ、周辺の環境にはいま以上の悪影響が出ることも考えられる。つまり、火を消すと同時に穴に蓋をしなくてはならない。しかし10センチや20センチの穴ではないからな、60メートルの穴に蓋をするためには規模のでかい建設工事が必要になる。だが、火が燃えている状態で工事を行なうのは難しい。とは言え火を完全に消してから工事を行なっても、溶接とかしようものなら爆発だ。

 常識的に考えて一番確実なのは、穴の周囲に大量の土砂を集めて、1、2の3で埋め尽くしてしまうことだろう。これならあっという間に火も消えるし、大量の天然ガスが周囲に影響を与えることもない。ただし、天然ガスが土砂の隙間から少しずつ漏れ出してくるのは避けられない。それが周辺環境に悪影響を与えるレベルになるかどうかは、やってみなければわかるまい。また、このガスを採掘して利用するのも難しいかも知れない。

 結局、何を優先させるかである。穴の周囲に何本もガス井戸を掘って天然ガスを採掘し尽くせば、穴の火が勝手に消えてくれる可能性もある。ただ一番の悪手は火を消すことばかり躍起になって、天然ガスを空気中に大量に撒き散らしてしまう事態だろう。それは事実上メタンの大放出であるからな。地球温暖化という現象を真剣に憂慮するのであれば、とんでもないことだと言える。

 でもなあ。二酸化炭素削減ばかりを声高に叫ぶ国際社会を見ていると、本当に温暖化を心配しているのか、いささか懐疑的にならざるを得ない。果たして実際のところはどうなのだろうか。


 ネタ数がないが、本日はこんなところで。昨日は2000文字ほど書けたのかな。今日もまあ何とか、できる範囲で頑張ろう。

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