第773話 2021/11/25 餅

 本日は11時起き。晴天。気温も少し高めだし、暖房を切った。ずっとこれくらいなら助かるのだが、明日はまた冷え込む模様。まあ、もうすぐ11月も終わりだからな。あと5日で12月だ。何なんだこれは。悪い冗談か。来週はもう12月、師走、年末である。ク~リスマスが今年もや~ってくる。ウギャー! と叫びたくなるところ。もうそろそろ来年のことを考えねばならんのか。はあ、ため息しか出て来ない。


 さてそんな訳でもう1ヶ月と5日寝るとお正月である。もはや凧揚げも独楽回しも羽根つきも遠い歴史の彼方の光景だが、餅はいまだに食われている。考えてみれば不思議な話だ。いまの日本人の食生活の中に餅が入り込む余地があるようには思えないのだが、いや、実際消費量は減っているのだろうが、それでもかなりの日本国民が毎年正月に餅を食う。そして餅による死亡者がニュースに取り上げられるまでが年始恒例の日本の風景だ。

 ことわざにも餅は多く登場する。「棚からぼた餅」「絵に描いた餅」そして「餅は餅屋」など。あまり使われないことわざなら、「栄耀に餅の皮を剥く」「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」「提灯で餅を焼く」「隣の餅も食ってみよ」等々があり、餅が日本人の生活にどれだけ深く入り込んでいるかを示している。昔の日本人は餅を食うことが本当に楽しみだったのだろう。それが我々のDNAに刻み込まれているのかも知れない。

 さて、話は大きく変わって、アフリカの国エチオピアである。2019年にノーベル平和賞を受賞したアビィ首相の率いるこの国では、現在北部を根城にするティグレ人民解放戦線との内戦状態に突入している。24日にはイギリス外務省がエチオピアに滞在しているイギリス人に対し、退避勧告を出した。先般フランスとドイツ、イタリア、アメリカが退避勧告を出しているのだが、イギリスも近日中に戦火が首都アディスアベバに到達すると予想しているようだ。

 このことからもうかがい知れるように、現在エチオピア国軍はティグレ人民解放戦線に対し劣勢である。戦端が開かれたときには国軍が大規模な空爆を敢行するなど攻勢に出たのだが、ジリジリとティグレ側に押されてきた。詳細は不明だが、展開を見るに現場の兵士の士気に差があるのではないか。

 第二次世界大戦時、大日本帝国軍はアメリカ軍の物量に対し「大和魂」で立ち向かおうとしたが、もしも当時のアメリカ軍の士気が極端に低ければ、案外勝てた可能性もあるのかも知れない。現実はそんなに甘くなかったけれど。

 国軍の士気が低すぎて戦いに敗北したといえば、最近ではアフガニスタンで見られた光景である。似たような事がエチオピアでも起こっている可能性はある。これに鑑み、現状を打破しようとアビィ首相が動き出した。22日夜、Twitterにこう投稿したのだ。

「明日から私は、国防軍を直接率いるために戦線へ向かう」

「歴史において祝福されることになるエチオピアの子どもたちの1人であろうとする人々よ、母国のために今日、立ち上がれ。戦線で会おう」(以上CNN)

 話はまた変わるが、「英国王のスピーチ」という映画がある。これは現在のイギリス国王エリザベス2世の父君であるジョージ6世を題材にした映画だ。吃音症で人前で話すことを嫌がっていたジョージ6世が1939年、イギリスのナチスドイツに対する宣戦布告に際して国民を鼓舞するスピーチを行うまでを描いている。

 このスピーチに背中を押されたイギリス軍の参加する連合国軍が枢軸国軍といかに戦い、どのような結果に至ったかは書くまでもない。しかし、もしも。もしもであるが、この英国王のスピーチにおいてジョージ6世が「私が最前線で軍の指揮を執る」などと言っていたら、どんな結果になっていただろう。

 当時のイギリスの法制度的にそれが可能だったかどうかは知らないが、仮にそれができたとしてもすべきではあるまい。大昔ならともかく、20世紀の王様に近代化された軍隊の指揮など執れるはずがないからだ。もしもそんなことが行われていたら、連合国軍は敗北していたかも知れない。「餅は餅屋」なのだ。軍隊のことは軍人に任せ、王様は国家の象徴として国民を勇気づけることに専念すべきであろう。ジョージ6世は実際にそう動いた。その結果が勝利である。

 今回のエチオピアにおけるアビィ首相の行動は、感情的には理解できる。が、現実問題として非常にマズい。自分の能力を過大評価している。もちろん日本で自衛隊の最高指揮官が首相であるように、エチオピアでも制度上はそれが可能となっているのだろう。しかしアビィ首相の行動は、すなわち国軍の指揮官を信用できないという宣言である。ならば今後国軍の内部でアビィ首相から離反する勢力が出て来るのは当然だし、ただでさえ士気の低いエチオピア国軍のメンタルがさらに低下するだろう。

 ハッキリ言うがアビィ首相は間違った方針を示している。今後エチオピアは少し前のアフガニスタンのようになる可能性が高い。「棚からぼた餅」すら期待できない。国民から人気の首相が最前線に立てば士気が上がるに違いない、などという目算はただの「絵に描いた餅」である。早い段階でそのことに気付いていただきたいところ。

 なおアメリカは24日、アビィ首相が前線入りしているという報道を受けて、

「エチオピア紛争に軍事的解決はない」

「わが国はすべての関係者に対し、扇情的かつ挑発的な発言を控えて自制心を働かせ、人権を尊重し、人道支援を認めて民間人を保護するよう求める」(以上AFP)

 と、国務省の報道官が述べている。つまりエチオピアがどうなろうとアメリカ軍を投入するつもりはない、と明言したのだ。おそらくイギリスやEUもこれに倣うのではないか。ただそうなると出て来るのが中国とロシアである。エチオピアは以前から中国に金を借りたりしているからな、いま以上の接近が懸念されるのだが、さて。


 少ないが本日はこんなところで。暗いニュースは多いんだけどなあ。いや、エチオピアの件も暗いニュースには違いないんだけれども、まだギリギリやり直せるし。もうやり直せないような話が国内にゴロゴロある。ああ、やだやだ。

 昨日は3400文字ほど書けた。まあそこそこ頑張れただろう。今日も何とか頑張りたい。てか、4万文字越えてるんだよな。5万文字くらいで終わってくれないかなあ。無理か。

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