第639話 2021/7/14 法則とか

 本日は3時起き。5時頃まで何やかんやしてから動き出したのだが、体調はまあまあ良い。まあまあ良いと言いきれるレベルの日はここのところずっとなかったからな、自分比で言えばかなり好調である。外は晴れ。多少ムッとしてはいるが、さすがにそこは仕方ない。

 今日は西日本から東日本にかけて、午後から局地的に雷雨が予想されている。何事もないのを祈るばかり。


 経済学用語に「グレシャムの法則」というものがある。何のこっちゃと思う人もいるかも知れないが、おそらくほとんどの人は義務教育で、それも社会科で習ったはずなのだ。いわゆる「悪貨は良貨を駆逐する」というのがそれだ。

 たとえば法定通貨が金貨である国があったとしよう。最初はちゃんとした純金の金貨を使用しているのだ。だが国の経済が傾いたりするとコスト的に金貨の発行が難しくなる。そこで金に不純物を混ぜて粗悪な金貨を作り、それを市場に流通させるとどうなるか。金の価値を知る人々は純金の金貨を貯め込み、粗悪な金貨を使用するようになる。すると市場には粗悪な金貨だけが残る事になる訳だ。これによって通貨の信用と価値が下落し……と経済学では続いて行くのだが、ここではそこまで書く必要もなかろう。

 これは金貨に限った事ではなく、社会の様々な場面、イロイロな物やルールやシステムなどでも見られる現象である。たとえば身近な例なら、コンビニやスーパーにおいてあるコピー……じゃないな、パクリ……でもないな、まあ要するにどこかで見たような気がするPBのお菓子やインスタントラーメンなどでもこの現象は起こりうるのだ。

 ただし食品の場合は財産として溜め込むのではなく、購入しないという行動になる訳だが。安い商品だけ買ってほんの少し高いオリジナル商品を購入候補から外す。これを繰り返す事により長い目で見れば良質な物が市場から排除される。

 いや、そもそもこのカクヨムを始めとするweb小説の世界がまさにこれであろう。何か1つ人気作が生まれると、同じ傾向の作品が雨後の竹の子のように乱立し、ランキングを埋め尽くしてしまう。するとそれ以外のジャンルの作品はランキング下位となり、「このジャンルは衰退した」とか言われたりするのだ。

 しかし他ジャンルを「衰退」させているのは高品質でハイレベルな作品ではない。玉石混淆という考え方で言えば、ほんの一部の宝玉の回りを固める、圧倒的スピードで生み出され続ける大量の石ころが他ジャンルを横へ押しやるのである。

 それは全体の質やレベルを上げる事にはつながらない。そういう観点からすればまるで無意味な事なのだが、web小説全体の新陳代謝を促すという点からは意味があるかも知れない。しかし大量の「悪貨」によって僅かに残っていた「良貨」が駆逐されているのもまた事実であろう。

 さて新型コロナの感染が世界中に拡大しているいま、新たな通貨にも似たモノが脚光を浴びている。そう、ワクチンである。大国はこのワクチンを貧しい国に提供する事で己が影響力を見せつけようと懸命だ。

 スピード的にロシアと中国が先行したかに見えたワクチン外交であるが、日本やアメリカなど西側先進各国が信頼性や透明性の面で優位に立ち、かなり巻き返している。中国製のワクチンを取りやめファイザーやモデルナのワクチンに切り替える国も出て来ている現状だ。

 実際のところはどうかわからないが、虫けらの目には日本がアストラゼネカのワクチンを台湾に送った事が転機となったように見えている。まずアメリカがこの話に乗り、他のアジア諸国の中にも日本にワクチン提供を期待する動きが出て来た。結果、G7が協調してワクチン外交で攻勢をかける事につながっている。

 ただ、ならばこの先アメリカや欧州産のワクチンがバンバン世界中にバラ撒かれて行くのかと言えば、そう簡単な話でもない。まずワクチンの製造量、供給量には限界があるからだ。特に計算違いだったのがインドである。

 製薬に強いインドは「世界のワクチン工場」でもあり、アストラゼネカのワクチンをライセンス製造していた。これが輸出に向けられていれば、いまほどのワクチン不足は起きなかった可能性がある。ところがインドが世界トップクラスの新型コロナの感染大国となり、国内で使用するワクチンが不足してしまった。このためインド政府はワクチンの輸出にストップをかけ、国内消費に回したのだ。これが非常に痛かったと言えるだろう。

 国連主導で貧困国に新型コロナワクチンを無償もしくは安価で公平に分配供給する仕組みが「COVAXファシリティ」である。カナダや韓国がちゃっかり列に並んでワクチンをせしめた例のアレであるが、この仕組みもインドが製造するアストラゼネカのワクチンを前提としていた。しかしインドからワクチンが出て来なくなったために何ら手が打てなかったのだが、これに手を差し伸べた国があった。

 悪い予感がした人は、その通り。中国である。中国の製薬大手シノファームとシノバックが製造する計5億5000万回分のワクチンが、来年前半までにCOVAXに供給される見通しとなったそうだ。WHOは中国のワクチンは効果が認められているとして歓迎しているが、まあWHOの言う事だからな。話半分に聞いておけばいい。

 もちろん、中国製であろうとちゃんと患者の重症化を防ぎ、感染拡大を押さえ込んでくれれば文句はないのだが、果たしてそれを期待して良いのかどうか疑問である。タダで供給されるからというだけの理由で中国産ワクチンが世界中に一斉に広まり、新たなカオスを生み出さなければ良いのだが。しかし悪貨が良貨を駆逐するのは世の習い、新型コロナの問題はまだまだ続きそうである。


 東南アジアの大国インドネシアでも新型コロナが猛威を振るっており、在留日本人のうちすでに14人が新型コロナで死亡している。日本政府は今日14日にも日系航空会社の特別便を飛ばし、インドネシア在留の日本人を可能な限り帰国させる模様。

 まあ政府の対処は当然である。後は日本に入った後の隔離なり検査なりをちゃんとやれば国民も文句は言わんだろう。ちゃんとしないから文句が出るのであって。


 政府の言う事を聞かない飲食店に酒を卸すのをやめろ、という酒類販売事業者への「要請」を、政府は昨日撤回した。麻生副首相なんかは、

「法的根拠がないお願いなんだから別にいいだろ」

 などと言っていたようだが、法的根拠も示せないような要請を政府が民間業者相手に出すのは法治国家として情けなくないか。威厳というか格式というかさあ。だいたい酒場で感染が拡大するのは大声出して喋ったり歌ったりするからであって、酒を卸さなければどうという話でもあるまい。

 国民の息の根を止めるような事ばかり考えていないで、何とか生き延びられる方向性を示していただきたいところ。簡単ではないと思うがね。思うけど、簡単ではない仕事をしてもらうために税金が支払われてるんだから。その金は選挙に勝った報奨金じゃないから。


 で、この酒類販売事業者に対する要請を実際に行っていた当局が国税庁だった訳なのだが、国税庁の職員が飲み会で7人新型コロナに感染していたらしい。もしかしたらこれが要請撤回の最後の決め手になったのだろうか。


 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長はまだ日本にいるらしい。早よ帰れや。13日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長を表敬訪問して会談した際に、日本人の安全を訴える場面で「最も大切なのはチャイニーズ・ピープル」と言い、慌てて「ジャパニーズ・ピープル」と言い直したのだそうな。

 まあ口も滑るわな。言い間違えたというより、本心ではどっちでもいいのだろう。金が入るかどうかが大事なのであって、目の前にいるのが日本人でも中国人でも関係なかったのではないか。せいぜい頑張れば良いと思う次第。

「東京オリンピックおもろおすなあ」

 と京都人辺りが評価してくれるだろう。


 本日はこんなところで。昨日はミステリーが1000文字ほど書けている。まあまあ順調である。今日も何とか頑張りたい。……頑張れるかなあ。

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