第625話 2021/6/30 力技とか

 本日は2時半起き。相変わらず極端な。外は曇天。体調はそこそこである。ただ当然ながら眠い。すんごい眠い! まあ今日は車に乗る用事もないし、眠いくらいで人は死なないからな。何とか頑張るしかないか。


 どこが初出かは知らないが、「力こそパワー」は最初ギャグだったはずだ。どう考えても真面目な議論やシリアスな展開の中で出て来る言葉ではない。この言葉が出て来る前段階には「力こそ正義」という言葉があった。無論良い言葉としては使われてこなかった。フィクションに出て来る悪役が使いそうな言葉だったのだ。しかしこれを土台として生まれた「力こそパワー」は、比較的好意的に捉えられているように思う。

 人間年齢を重ねると老化する。老化すると覿面に現われるのが筋力の低下だ。無論厳しいトレーニングを重ねれば後期高齢者でも筋力は発達するが、誰にでもできる話ではない。世の大多数の中年世代は筋力が低下して行くのを日々実感しながら、為す術もなく諦めているのだ。「力こそパワー」「筋力は正義」まさにその通り! そんな事を思いながら。

 虫けらもいい歳こいたオッサンなので、もう全身の筋肉が衰えている。体を鍛える時間がない訳ではない。しかし気力がまるでない。気力がないと体を鍛えられないのだが、鍛え上げた肉体がないと気力は湧かない。卵と鶏の関係である。

「いやいやそんな大袈裟な。鍛えてないけど気力はバッチリだぞ」

 そんな声が聞こえてきそうだが、それは単なる勘違いである。普通に動いて歩いて走れる肉体は、十分に鍛え上げられているのだ。老化すると満足に歩くこともままならなくなる。走るなんてとてもじゃないが無理だ。それが当たり前となるのが老化するという事である。若い時代には想像すらつかなかった世界が広がっている。決して明るくも楽しくもない世界が。

 強引さ、力尽く、こういった事には若くても否定的な人は多かろう。まあ空想の中で物事を無理矢理に力技で解決できたらいいな、とか思う事はあっても、実際に他人に対してあまり強引な態度で何かを強要するような事は普通なら避ける。普通じゃない馬鹿もいるけどな。だがこういうのも、老化すると消えて行く。力がないから力技も通じなくなるのだ。もちろん力技が通じないとなると、まるで子供に返ったかのようにワガママ放題を主張し始めるのもまた老化ではあるが。迷惑な年寄にはなりたくないものである。

 事ほど左様に、「力こそパワー」は若さの証明でもある。物語を書いていても若い頃には勢いがあった。歳を取るとそれがなくなる。自然な事だとは理解しているのだが、いささか寂しさも感じるところ。

 さて、ニュージーランドのオタゴ大学の研究チームが、

「世界の肥満問題の解決に役立つ、世界初の減量装置を開発した」(AFP)

 と学術誌「ブリティッシュ・デンタル・ジャーナル」で発表した。減量装置と言うからには画期的なダイエット器具だろうか。と思って記事を読んだのだが、うーむ。何と言うか、アレだ。

 この器具はいたってシンプルな構造をしている。上下の奥歯に金属の輪を嵌め込み、その間に強力な磁石を挟んでいるのだ。この磁石の働きにより、上下の歯の間は2ミリしか開かなくなり、流動食しか入らない状態になる。結果、碌に物が食べられないため体重が減るという理屈である。

 医学知識もないド素人がこんな事を言うのも何だが、これ椅子に縛り付けて食料を与えないのと本質的に何が違うのだ。最近、任天堂の「リングフィットアドベンチャー」がゲームとしてよりエクササイズ用途で売れているという話も聞くが、肥満解消という点で見ても、こちらの方がまだはるかに科学的で近代的な気がする。奥歯を磁石で固定するなんてのは、さすがに力技に過ぎるだろう。

 美容整形の世界には肥満解消のために脂肪を吸引するとかいう方法もあるのだが、これもまた力技である。医学というのは最先端科学によって成り立つジャンルだと思うのに、その技術を使う人間たちは一周回って脳筋丸出しの力技に走ってしまう。おかしなものだと笑ってもいいのだろうが、人間という生物の限界が見えるようでいささか怖いなと感じたりもする次第。


 明日7月1日は中国共産党の結党100周年なのだそうだ。これを記念して国内最高栄誉の「七一勲章」が設けられ、北京の人民大会堂で29日に故人を含む29人に対し、習近平国家主席より授与が行われた。兵士や芸術、科学分野の専門家などが授賞したらしいが、その中に1人、特筆すべき人物がいる。64歳の王書茂氏だ。

 彼は兵士でも芸術家でも科学者でもない。では何をしたのかと言えば、海上民兵である。つまり中国政府の命令で漁船に乗り込み、漁民であるとの建前で中国周辺の海域に進出、これを中国の海警が取り締まる事によりその海域を中国が実効支配していると宣言するための手助けをするのだ。

 もちろん漁船1隻や2隻では他国の海上警察組織や海軍に蹴散らされる。しかしその点はさすが中国、人間の数だけはとんでもなく多いし、命の価値も軽い。何百隻もの漁船を連ねて他国の支配海域を物理的に占領するのである。

 だがそれでも彼らは軍人ではない。兵士ではない、あくまでも漁業従事者という建前なのだ。実質的には人民解放軍の一部として活動していても、軍籍のない民間人扱いである。

 一般的に軍艦は相手が海賊船でもない限り民間船舶には攻撃しない。この国際的な常識と良識を逆手にとった極めて卑怯で薄汚いやり方なのだが、中国では勲章が与えられる。この時点でただの民間漁船ではないと馬脚を現わしているにもかかわらず、ならば今後は軍の工作員の船として撃沈できるかと言えば、実のところそう簡単な問題でもない。まあ海上の便衣兵である。いろんな意味で非常に中国らしいと言えるだろう。


 オーストラリアは新型コロナに対して比較的上手く感染拡大を抑えていたのだが、デルタ株が広がり出してから様相が変わり、現在シドニーを含むニューサウスウェールズ州では厳しいロックダウンが行われている。

 そんな中、シドニー南部の国立公園内から救援要請があったという。州の救助隊と警察が出動する騒ぎになったのだが、どうやら2人の男性がロックダウンの規制を破り、国立公園内のビーチで全裸で日光浴をしていたらしい。

 ところがそこに鹿が突然現われた。オーストラリアであるから外部から連れて来られた鹿が野生化したものであろうが、これに驚いた2人は裸のまま国有林の中に逃げ込み、遭難してしまったという。まあ救援要請ができたという事はスマホは持って逃げたのだろうな。前を隠すにもちょうど良いサイズなのかも知れない。

 警察の本部長はこの2人に対し、

「愚か者を規制するのは難しい。だが適切な理由なく外出することによって人々を危険にさらしたばかりか、国立公園に迷い込んで、保健業務に振り向けるはずの大切な資源を使わせた。恥を知るべきだ」(CNN)

 と厳しい言葉を述べている。まあ妥当ではあるが。

 2人は違反切符を切られ、日本円で8万4000円程度の罰金を支払う羽目になったらしいが、命あっての物種である。良い勉強をしたと思って諦めるしかあるまい。


 アフリカの国エチオピアでは昨年から北部ティグレ州でティグレ人民解放戦線(TPLF)と国軍が戦闘を続けていたのだが、28日、TPLFが州都に入り奪還を宣言した。一方エチオピア政府は一方的に停戦を表明している。

 これ民族紛争だとか、巨大な政府軍が少数民族を弾圧しているだとか、そういった報道も見られるが、そもそもTPLFは現在のアビー首相が権力を握る前までエチオピアを支配していた勢力である。弱小民族が威圧的な政府に必死で抵抗しているという構図とは少し違う。もともと首都で行われていた権力闘争が軍事闘争に拡大したものだと考えるべきであろう。いずれ独立運動につながるのではないか。もちろんそうなれば、大規模な内戦となるのだろうが。


 本日はこんなところで。昨日から今朝にかけての間に2600文字ほど書けている。まあまあ頑張った。今日も何とか頑張ってみたい。

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