第580話 2021/5/16 トリックとか

 本日は5時半起き。曇天。雨が降る予報。中国四国は梅雨入りしたからな、この辺も今日明日かも知れない。ああ、陰鬱陰鬱。この2日、広い範囲でかなり強い雨が降る模様。土砂災害の警戒情報が出ているところもあるとか。大きな被害がなければいいが。


 フィクションと現実を混同してはいけない。などと言われると、「子供じゃあるまいし、そんなもの混同する訳がない」という反応が返ってくるのかも知れない。だがそれは間違いである。人間はフィクションと現実を混同するものなのだ。

 その典型例がミステリーであろう。ミステリーを書いてるヤツがこんな事を言うのもアレだが、ミステリー作品に登場するトリックは、ほとんど大半が無意味である。

 たとえば密室。外からは誰も入れない密室で人が殺された! 警察の捜査はそこで行き詰まる……訳がない。確かに殺した手法は裁判までに解明された方が良いに決まっている。だがそれと犯人逮捕はまた別の話である。たとえ密室トリックが解明できなくとも、動機や証言、前後の行動など状況証拠で逮捕状は取れるし、物的証拠がなくても裁判で有罪になった例はある。どれだけ犯行不可能と思える状況を作り出したところで、捕まるときは捕まるのだ。その労力に見合った結果は必ずしも伴われない。

 つららや氷のナイフで刺し殺したりするのも同様で、凶器が発見されなくても容疑者が逮捕される事など珍しくもない。トリックハウスも、そんな変な家で事件が起きた時点で容疑者は絞り込まれる。完全犯罪などというものは、犯罪行為が実行されるまでは可能だと言えるが、その先、つまり司法の手を逃れて自由になれる確率など極めて低い。それは警察も検察も裁判所も、良くも悪くも人間がやっている事だからだ。

「決定的証拠がないんだから無罪だろうが!」

 と被告がどれだけ主張しようが、裁判官が有罪と判断を下せば有罪なのだ。理屈として納得できなくとも、この世界はそういう風にできている。「罪を犯しても証拠さえ隠しおおせれば何とかなる」と思うのは、フィクションと現実を混同しているのである。

 もちろんその逆もまた真であり、完全犯罪など企んでいないのに、警察の捜査が杜撰なせいで迷宮入りしてしまうケースもある。つまりこの世には「絶対に解決されない事件」もなければ「必ず解決される事件」もないのだ。犯罪者が逮捕されるかどうかはかなりの部分、運に支配される。「緻密な犯罪計画」などというものが、いかに無意味で虚しいものか。ミステリーとは所詮ファンタジーなのだ。

 さて大阪府の柏原かしわら市と言えば、奈良県橿原かしはら市と隣接し、古墳が多い事で有名であるが、15日午前8時頃に集合住宅から火災が発生した。現場からは男女とみられる2つの死体が発見され、男性はこの部屋の住人とみられるが、胸に刺し傷があったという。

 見ようによっては男女の無理心中と見えなくもない。だがどうだろうな。男性を刺し殺した者が証拠隠滅のために火を放ったという可能性もあるのではないか。そういう例はさほど珍しくはない。

 確かに死体を焼いて灰にしてしまえば、刺し殺した証拠は消えてなくなる。しかし残念な事に、人間の体というのは大半が水分であるため、そうそう灰になるまで燃えてくれないのだ。家に火をつけた程度では、火葬場の炎は再現できない。トリックとしては極めて幼稚だし、ほぼ無意味である。火をつけた犯人は、フィクションと現実の区別がついていなかった可能性が高い。

 どうしても死体を処分したいのなら、労力を厭わない事だ。たとえば死体をバラバラの肉片に分解して、一つ一つを別々の場所に埋めるとか。日本中の山を巡って埋めて行けば、誰にも見つからないかも知れない。ただし、死体が出ないのだから警察に捕まるはずがないなどとは思わない事だ。「死体なき殺人事件」は過去にも例があるし、容疑者は逮捕されている。

 どれだけ緻密な計画を立てようと、どれだけ丁寧に証拠隠滅を図ろうと、犯罪はバレるときにはバレるし、捕まるときには捕まるのだ。平穏な毎日が過ごしたいのなら犯罪には手を染めないのがもっとも合理的で確実だと言えるだろう。


 戦闘が続くパレスチナでは15日、イスラエル軍の空爆により攻撃目標とされたビルが倒壊した。これでいくつ目になるのかはよくわからないが、イスラエル軍は事前に攻撃目標を明らかにし、退避勧告をした上で空爆している。言うなれば「ルールを守った戦争」をしている訳だが、この倒壊したビルにはAP通信やアルジャジーラなどのメディアが入っていた。

 イスラエル軍によれば、このビルにハマスの事務所があったからというのが攻撃理由らしい。それはたぶん嘘ではない。だがそれだけでもあるまい。イスラエルがどれだけルールに則り「人道的」な演出をしようとも、戦争は戦争である。メディアに嗅ぎ回られたくない事も沢山あるはずだ。ハマス攻撃にかこつけてメディアの活動を抑え付けようという意図がまったくなかったとは考えづらい。

 イスラエルに対するパレスチナ人の抗議行動はヨルダン川西岸地域にも拡大し、すでに10人以上が死亡している模様。終息にはかなり時間がかかるかも知れない。


 短いが、本日はこんなところで。後は新型コロナの話題しかなかった。インドの駐在員に帰国指示が出ているとか何とか。今頃かよ。対応が遅いのは政府だけではないようだ。日本人の国民性なのかも知れない。

 しかし虫けらが試合を見ると阪神が負けるのは何故だ。昨日は佐藤輝明選手が大活躍していたし、勝てると思ったのだが。うーむ。今日は見ようかどうしようか。はてさて。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る