第375話 2020/10/23 臓器とか

 本日は12時起き。雨。頭が重い。買い物に行こうかと思っていたのだが、これでは無理だな。

 はあ、苦しい。肉体的に苦しかったり精神的に苦しかったり、世間に対して心苦しかったりイロイロなのだが、いまは主に経済的に苦しい。何とかならんかなあ。ならんよなあ。借金ばかり増えて行く今日この頃なのに、ついつい本を買ってしまう。

 まあ年間平均で見れば、さほど大量に買っている訳ではないのだが、買わないときはまったく買わないのに、買い始めると続いてしまう。あれもこれも欲しくなる。別に本を読んだって賢くなる訳ではないし、アイデアがたくさん湧いてくる訳でもない。地頭が悪いからな、たいして変わらないのだ。知識を増やしても、それを活かせる訳ではない。「論語読みの論語知らず」とは虫けらのような者を言うのだろう。

 でも自分の知らない世界がそこにあると、どうしても触れたくなる。そんな事をして何になるのかは知らんが、欲望を抑えきれない。麻薬のような物と言える。いい歳こいた大人なんだから、欲望をコントロールする術くらい身につけなきゃならんよなあ、と思いながらAmazonを漁ってしまうのだ。まったく。


無碍むげの光明は無明のあんを破する慧日えにちなり」と親鸞は言ったのだそうな。「無碍の光明」とは「(何ものにも妨げられることのない)阿弥陀仏の光」、無明の闇とは「人間の迷いや不安の根本にある闇」、慧日とは「仏の智慧が煩悩や罪障を除くことを、太陽にたとえていう語」という事らしい。つまり簡単に意訳すれば「仏の光が心の闇を照らして浄化してくれる」とでもなるのか。

 しかし現代社会における無碍の光明とは阿弥陀仏の光ではない。科学の光である。科学こそがこの世の闇を払い、世界の謎を解き明かしてくれる、と多くの人々は無邪気に信じている。それは決して間違いとは言えない。

 ただし、西洋科学が近代的に発展して以降、世界の謎の数が減ったのかと言えば、そうでもない。別に数えた訳ではないが、たぶん増えているのではないか。何故なら科学とは謎を解明するものではなく、謎を探求するものだからだ。探求すればおおよその謎やメカニズムは解き明かされるものの、そのより真相に近い部分で謎は細分化され、より精緻で細密な新たな謎が生まれてくる。

 具体例を上げるなら、人間の体がわかりやすい。昔は人間の体が何でできているのかなどわからなかった。だが科学の発達によって細胞の集合体である事が判明する。やがて細胞の中の研究が進むと、細胞核の中に染色体の存在を発見する。そして染色体とは何ぞやと調べると、中に遺伝情報があるのではないかという事になり、DNA

やRNAが見つかり、遺伝子の存在が確認された。いまでは人間の遺伝子の情報が解析されている。

 では、人間の体にもう謎はないのかといえば、さにあらず。解析された遺伝情報の一つ一つが人間の体のどんな事に関連しているのかを確認する作業が残っているし、いずれは分子レベル、原子レベル、素粒子レベルの謎を解明する必要もあるのだろう。技術が発達し、叡智が積み重ねられるほど、謎は増えて行くのだ。それが科学の光の特性である。

 そんな事を改めて感じさせる出来事がオランダであった。オランダ癌研究所などの研究チームが発表したところによると、鼻腔と咽頭のつながる頭蓋骨内部に、未知の腺がある事を発見した。これはCTスキャンやMRIでは見つからず、前立腺がんの転移を調べるPSMA PET/CTという先端のスキャン検査で初めて見つかったらしい。

 従来から知られていた唾液腺の一部ではないかという意見もあったようなのだが、詳細な調査の結果、解剖学的にも機能的にも新しい別個の大唾液腺で、新たな「臓器」であると裏付けられたのだそうな。論文を発表した研究者曰く、

「2020年にこんなものが見つけられるとは思わなかった」(CNN)

 との事。まあそりゃそうだろう。人体の臓器の数など、とうに数え尽くしたと誰もが思っていただろうからな、まさかいまになって新しい臓器が見つかるとは。

 癌の放射線治療を受けてこの臓器が損傷すると、口が渇いて物を飲み込みにくくなるという副作用が出る可能性が指摘されている。つまりここを避けて放射線治療をすれば、患者の予後が変わるかもしれないのだ。もしそうなら、単に新臓器を発見したという以上の大発見である。

 最新のスキャン技術という、何にも妨げられる事のない科学の光が、人体の新たな真実を明らかにし、同時に新たな謎も生み出した。この臓器が人間以外の動物にもあるのか、あるとするならどこまで遡れるのかなど、興味は尽きない。いつか科学は人体の謎だけではなく、人間の心の闇までをも解き明かすのかも知れない、などと考えるのはちょっと無邪気すぎるかも知れないが。


 人体繋がりで、ポーランド南部クラクフにあるフィットネスジムが、Facebookに17日、こんな投稿をしたのだそうな。

「フィットネス教室は認められていないため、本日より『ヘルシーボディー教会』の信者向けに宗教集会を開催します」

「信じられませんか? この世界では、どんなことでも可能ですよ」(以上AFP)

 ポーランドでもご多分に漏れず新型コロナウイルス感染が拡大しており、その対策の一環として政府は先週末からプールやフィットネスジムの閉鎖を決定したのだが、これに対し教会の礼拝はマスク着用や人数制限などの条件付きで認められている。つまりこのジムは教会を称する事で、規制の網の目をくぐった訳だ。

 とはいえこんなインチキが政府に通用するとも思えない。早晩このジムには何らかの処分が下るのではないか。傍から見ている分には面白いのだがな。


 タイの首都バンコクでは15日から非常事態宣言が出され、5人以上の集会が禁じられていた。しかし学生を中心とした勢力は、政権批判と王制改革を訴えて大規模デモを連日行った。結果プラユット首相は22日正午付で、緊急事態宣言を撤回するしかなかった。

 首相側が譲歩した形だが、学生らはこれを受け入れず、プラユット首相の3日以内の辞任を要求している。うーん、気持ちはわかるが戦法としてはいかがなものか。辞任するくらいなら軍を出して制圧する、という動きにつながらないだろうか。最初から覚悟の上なのだとは思うけれど、できれば流血の事態は避けてもらいたい。

 いきなり本丸である首相辞任に進むのではなく、まずは政府もやりやすいであろう王制改革を第一に要求してはどうか。とにかく一つ相手に呑ませる事ができれば、それは次につながる。確実なところから攻めて、勝利を積み上げるのが重要ではないかと思う次第。


 日本の社民党にはいま4人国会議員がいる。たった4人しかいないと思うのか、もしくは4人もいると思うのか、反応は人によりけりだろうが、とりあえず衆参両院議員合わせて4人だ。その社民党が分裂する事になったという。福島みずほ党首だけが社民党に残り、あとの3人は立憲民主党に合流するらしい。

 これ分裂って言うのだろうか。まあ数字的に見れば25%が社民党に残るとも言えるが、単に党首が見捨てられただけのようにも見える。こんな状態になってもNHKの日曜討論では「主要政党」として社民党が呼ばれたりするのかも知れない。主要って何かね、って思うところ。


 MRJからスペースジェットに名前を変えた三菱ブランドの国産初のジェット旅客機事業が、凍結になる模様。6度に渡って納期延期を繰り返してきたが、新型コロナによる需要の消滅でトドメを刺された格好。計画発表当初はそれなりに期待していたのだがな、やはりイロイロとガバガバだったのかも知れない。しかしまあこれで得た物もあるのではないか。それを今後に活かしてもらいたいものである、と良かった探しをしてしまう次第。


 本日はこんなところで。日記書いただけでもう夕方である。はあ、何と言うか。まあ、とにかく今日も頑張ろう。頑張ったってすぐ寝る時間なのだがな。

 昨日は1行ほどしか書けていない。果たして今日はどうだろうか。

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