第264話 2020/7/4 本日休業
本日は9時半起き。雨。風が物凄い。
昨晩、犬が死んだ。さて、困ったな。ペットロスなどと言うつもりはないが、さすがにネタ記事を面白がったり、偉そうに上から目線で政治を語ったりする気分にはなれない。昨日まで当たり前のように、空気のように寄り添っていた者が突然いなくなるというのは、なかなかに高ストレスなものだ。もちろん、いずれは慣れる。いずれは忘れる。それは間違いないのだが、いまはまだそのときではない。
何年一緒に暮らしたのだっけ。過去の記憶がグチャグチャになっていて、思い出せない。たぶん7年くらいは暮らしているはずなのだが。年齢も生年月日も思い出せない。脳が思い出すのを拒否しているかの如くである。しかし死亡届を市に出さねばならんからな。ちゃんと調べておかないと。
遺体の処理はペットの葬祭業者に頼んだものの、遺骨は求めなかった。フォトスタンドのサービスも断った。それは所詮、物である。そこに命は宿っていない。持っていて何がどうなる訳でもなく、ただ執着する時間が延びる効果しかない。もちろん、ソフトランディングという側面はある。心を整理するのに時間がかかる人も居るのだから一概に否定はしないが、虫けらに必要とは思えない。
遺体を渡す前に申込用紙を書くのだが、そこには「ペットへのメッセージ」という欄があった。空欄で渡した。紙に書けるメッセージなどない。いったい何を書けと言うのか。心の中にある物を文字に書き起こせるようになるには時間がかかる。そしてそれは、僅かなスペースに書き込めるようなものでは断じてない。犬であれ、鳥であれ、飼育してきた訳ではないのだ。共に暮らしてきたのだ。その思いは、手書きの文字にするには重すぎる。
不思議なもので、昨日は涙は出なかった。しかしいまになって涙が止まらない。今日は一日メソメソするかも知れない。まあ、それも人生である。そんな訳で本日は休業する。明日回復しているかどうかは明日にならなければわからないが、でも何かは書きたいと思う。そういう生物なのだから。
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