第259話 2020/6/29 正解とか

 はて。『魔獣奉賛士』のなろうでのPVが急に増えている。何だろう、更新が金曜の夜だったからか。たまにこういう事があるのだが、問題はこれが継続しない事だな。人気作家にはなかなかなれないものである。て言うか、人気作家の定義って何だ。PVが幾つ以上なら人気作家なのか。ああ、いかにすればみんなにチヤホヤされるのだ! てな事を真面目に考えている人もいるのだろうが、さすがにそこはもうどうでもいい。なろうやカクヨムという枠の中で人気者になるのも悪くはないが、それだけでは意味がない。大事なのは自分の書いた物が人目に触れる場所にあるという事実だ。その事実が自分のケツを蹴り上げる。怠惰な能なしを前に進ませる。だから今日も書くのである。と言いつつ、昨日は200文字くらいしか書いてないけどな。


 定義の定かでないのは、何も人気作家だけではない。そもそも我々の身の回りに定義の不明なものはごまんとある。子供の頃、学校では正解の出し方を何年も学んできた我々であるが、正解のないものがこんなにあるとは教わらなかった。現代の学校教育がどうであるのかは知らないが、少なくとも過去の文部省、文科省の学習指導要領は間違っていたのではないかと思わざるを得ない。

 虫けらの身近な話題で言うなら、生物の飼い方に正解はない。Twitterなどを見ていると、ときどき「こんな飼い主に飼われているペットは可哀想だ!」みたいな投稿を見かける。確かに虫けらの目から見ても可哀想な飼われ方をしているペットはたまにいる。それを非難するのは簡単だ。だが、「正解ではない」という方向性で非難する者を見ると、いささか引いてしまう。「おまえ本当に正解を知ってるの?」と思わざるを得ないからだ。

 代表的な例を挙げれば、「金のないヤツはペットを飼うな」という理屈である。これ自体は間違った考え方ではない。ペットを飼うには金がかかる。それは紛れもない事実であり、生活に余裕のない者が無理にペットを飼っても不幸な結末になる可能性が高い。だから金のないヤツはペットを飼わない方が良いのはその通りだ。ただその事と、「金をかけたペットの飼育は正解」かどうかはまったく別の話である。どれだけペットに金をかけても、飼い主の頭の中が古い情報のままであったり、偏った情報に固執していれば、適切な飼育などできはしない。

 ならば最新の情報を集めている飼い主に飼われているペットが幸せなのかと言えば、これもそうは言い切れない。何故なら生物には個性があるからだ。最新の飼い方が常に正解ならば何の苦労もない。しかし実際には合う合わないが必ずある。そもそも何をもってその生物が幸福であるのかについて、我々は正しい答えを知らない。どうしたって人間による人間的価値観の押しつけは排除できない。

「長生きをした方が幸せだ」

「栄養価が高くてカロリーの低い食事を与えられれば幸せだ」

「飼い主とのスキンシップが多い方が幸せだ」

「広い空間が与えられているほど幸せだ」

 これらはすべて人間的価値観である。その生物が本当にそれで幸福であるのかどうかを正確に知る事は、現段階ではできない。「わからない事はわからないなりに、可能な限り努力する」という姿勢を批判するつもりはない。ただ、そこから「アイツは飼い方に努力の跡が見られないから叩いて良い」という方向に、どうしても人は行きがちなのだ。これは何とかならないものかと思う。

 さて兵庫県警は24日、動物愛護法違反の疑いで55歳の会社員の男を逮捕した。調べによるとこの男は、木造2階建ての空き家で犬を飼っていたのだが、そのニオイや鳴き声が酷いと近隣住民から通報があったらしい。それもそのはず、その家で飼われていた犬の数は66匹。中には数年分と思われる排泄物や犬の毛、餌の残りなどが数トンもあり、高いところで膝くらいまで積もっていたという。ただし、衰弱した犬はいなかった。

 男は調べに対し「餌や水もあげている。虐待しているつもりはない」と述べているそうだ。虫けらの価値観から言えば、この男に飼われていた犬たちは可哀想だ。この飼い方は正しいとは思えない。ただ、ならば虫けらは「正しい犬の飼い方」を理解しているのだろうか。虫けらは犬を1匹飼っているのだが、狂犬病の予防接種をするとか、毎日散歩に連れて行くとか、そういった社会的な意味での正しさはある程度守っている。だがうちの犬がいま幸せなのかどうか、それはわからない。それがわからないのに「飼い方の正解」などわかるはずがない。

 66匹の犬は、おそらく譲渡先を探す事になるだろう。その新しい家で、いままで以上に幸せになる可能性は少なからずある。ただ、ならばいままでは不幸だったのだろうか。本当に? この件に関し、わからない以外の「明確な正解」を主張する者には、生き物を飼って欲しくないような気がしないでもないところ。


 虫けらは「なんちゃって自営業」であるが、一応客商売である。とは言え非常にターゲットの狭い客層を相手にしているので、とんでもないお客様というのは少ないのだが、残念ながらゼロではない。この辺はもう客商売の宿命であるのだろうな。まして広い客層を相手にする商売ともなれば、大変なのは想像に難くない。

 新型コロナの流行も一段落した日本ではあるが、東京を見てもわかる通り、まだ警戒は必要である。静岡県内にある宅配会社が27日、収集所の密集を避けるために、荷物を出しに来た客に外で待つよう要請したところ、その客が逆上して事務所のガラス扉を破壊したのだそうだ。当たり前だがこの客は逮捕された。50歳の会社員だそうだが、よくいままで社会人やってこれたものだなと呆れ返ってしまう。こういう客には当たりたくないところだ。ああ怖い怖い。


 短いが、本日はこんなところで。ミステリーの推敲はあと1回で終わらせようと思う。100%完璧とは言えないが、おそらく「もう1箇所も手を入れる場所がない」という段階には永遠に到達しないだろう。ここで割り切ってしまおう。あとは野となれ山となれである。引っかかってくれないかなあ。面白いと思うんだけどなあ。

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