第211話 2020/5/12 お約束とか

 本日は8時半起き。世間的には早起きとは言えないが、虫けら的にはまあまあ頑張った方だろう。

 今朝見たのは綿棒の夢。父親に青い綿棒を探せと言われて戸棚の中を引っかき回すと、白い綿棒が見つかったので渡した。その直後、一番奥に青い容器に入った綿棒を見つけて「あ」と思ったところで目が覚めた。はて、何の意味があったのだろうか。


 フィクションの世界にはお約束というものがある。ライダーキックやスペシウム光線を受ければ、相手は爆発するのが当たり前だし、波動砲のエネルギーは120%充填されるのが当たり前だ。もっと古いところを持ってくるなら、悪役の撃ちまくる機関銃の弾は主人公に一切当たらないが、主人公の撃つ拳銃の弾は簡単に悪役に命中する。何故そうなるのかを考えても意味がない。そういうものなのだ。

 NHKのBSプレミアムで放送されている『名探偵ポワロ』を毎週見ているのだが、前回のエピソードは「砂に書かれた三角形」、イタリア領ロードス島が舞台だった。ドラマ版のポワロは原作と違って1930年代が舞台なので、イタリア領には当然の如くファシスト党が居て、黒シャツ隊が出てくる。

 名探偵ポワロはイギリス制作のドラマであるため、イギリスにおけるファシスト党に対する見方が垣間見える。決して友好的な存在ではない。「けだもの」という言葉すら使われる。ただ、彼らは暴力的な野蛮人っぽく描かれているものの、物語の中における立ち位置は間抜けな警官である。つまり狡猾で悪辣な殺人犯を追いかける立場だ。いわゆる典型的な悪役とは少し違う。だがもし、この作品にナチス・ドイツが登場したら、どんな描かれ方をするのだろうか。

 アメリカのハリウッド映画などではよりわかりやすい。ナチス・ドイツは典型的な悪役である。つまり上から下まで一人残らず全員悪人だ。これがハリウッドにおけるお約束なのだろう。もちろんハリウッド映画を全部見ている訳ではないから、お約束から外れた映画もあるに違いない。しかしそれもまた、お約束が前提としてあるから成立する物語なのではないか。アメリカの外で作られた『ヒトラー ~最後の12日間~』や『帰ってきたヒトラー』のような映画は、なかなか作りにくいのだろう。

 無論、ハリウッドにおいては大日本帝国も悪役である。それでもナチスほど徹底的な悪役としては描かれない。多少のブレが見える。少なくとも大日本帝国は月の裏に秘密基地を作ってUFOで攻めてきたりはしない。悪役としては格落ちなのだ。

 そんな天下の悪役オブ悪役のナチス・ドイツであるが、その最後の通信の内容が8日に公開された。イギリスの通信傍受機関である政府通信本部(GCHQ)が、ドイツが連合軍に降伏した事によりヨーロッパでの戦闘が終結してから75年を迎えたのを記念して明らかにしたのだそうな。

 通信は『クンケル』という名前の将校が1945年5月7日午前7時35分、ドイツ北部の港町クックスハーフェンの建物から、イギリス軍に降伏する直前、友軍に向けて送信したもので、内容は、

「英軍は5月6日14時、クックスハーフェンに進入した。今から全ての無線通信を終える。幸運を」

「通信を永久に終える。みんな元気で、さようなら」(以上CNN)

 というものだった。非常に人間的な匂いがする。当たり前だ。ナチス・ドイツだって人間が作り上げたのだから。よくナチスの行った事を「悪魔の所業」などと言うが、それは違う。アウシュビッツもこの通信も、どちらも人間の行為であり、我々も行う可能性がある事なのだ。そしてナチスの中に居た人々も普通の人々であり、我々と同じ事を感じ、考えていたに違いない。

 人間は神でも悪魔でもなく、その両方を内包する。それが普通であり当たり前である。主人公が正義の味方で常に善の側に立つというのは、フィクションの世界だけで通じるお約束だ。その事を忘れてはいけないと思う。


 相も変わらず新型コロナは感染を拡大させ続けているが、それを防ぐための都市の封鎖措置に対する人々の苛立ちは限界に近付いている。アメリカでは各地でロックダウンに反対するデモが広がっているが、オーストラリアでも似たような状況らしい。

 10日、メルボルンでロックダウンに反対するデモが行われ、約150人が参加した。彼らは新型コロナは政府が国民に対する統制をさらに強めるための偽装だと主張し、

「もしこの事態が、彼ら(政府)の言うところの半分でも致命的なものだとしたら、ロックダウンの命令があっても人口の半分が今も活動している中、この事態はオーストラリア中に山火事のように広がっただろうし、止めることはできなかっただろう」(AFP)

 と述べたという。また、「ビル・ゲイツを逮捕しろ」と叫ぶ者もいたそうだ。

 このデモで10人が逮捕され、警官1人が負傷した模様。陰謀論は距離を置いて眺めている分には面白い娯楽なのだが、中の人になってしまうと、イロイロとアレである。こういう連中がいるから、デモが白い目で見られたりするのだよなあ。子供に学校の勉強が何の役に立つかと問われたら、こういう人にならないで済む、と答えられるのかも知れない。


 中東でアメリカとの緊張が続くイランであるが、このところ革命防衛隊ばかりが目立っていた。しかし、イランにもちゃんと国軍があるのだ。

 10日、オマーン湾のホルムズ海峡近くでイラン海軍が演習を行っていた。支援艦コナラクが演習用の標的を海面に設置し、それをフリゲート艦ジャマランが新型対艦ミサイルで撃つ、という流れだったのだが、ジャマランから発射されたミサイルがコナラクを直撃、19人が死亡し、15人が負傷したそうだ。

 どうやらコナラクが標的を設置してから十分に距離を取らなかったために起こった事故らしいのだが、指揮系統とか確認手順とか、イロイロと問題があるような気がする。

 事ほど左様に、イランにもちゃんとした海軍があるのだが、何をもって「ちゃんと」と言うのかは定かでない。


 本日はこんなところで。もうすでに暑さでダレている。夏になったらどうするんだろう、コレ。

 昨日も600文字くらいしか書けていない。さてどうしたものか。集中力がないからな。何とかしなきゃいかんとは思うのだが、なかなか何ともならない。はあ、悩む事ばかりだ。

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