続・虫の日記

第173話 2020/4/4 ファンとか

　本日は９時起き。気温が高い。やはり暖かいと体調は良い。ちょっと買い物に行きたい気分だが、土日はやめておくか。月曜日までは食料も持つしな。まあ平日に外出したからといって新型コロナウイルスが見逃してくれる訳ではないのだが、その辺は気持ちの問題であろう。

　３日ほど前に漬けたザワークラウトが徐々に発酵している。金がないから業務スーパーの冷凍鶏肉ばかり食っているので、野菜も摂らねばと思って漬けたのだが、１週間くらいはかかるらしい。漬物はあまり金のかからない趣味である。一人暮らしにはオススメと言える。

　ファンっていったい何なのだろうな。言葉としてのファンとは様々な事象や人物に対する支持者・愛好家を指す。虫けらもいろんな人や物のファンである。とは言え無限に金の湧き出る打ち出の小槌を持っている訳ではないので、好きな人の作品を全部大人買いするなどという事はできない。ファンではあるが、経済的事情で熱狂的にはなれないのだ。

　ファンではあるが、途中から作品には期待しなくなったり、もう新作を追いかけなくなったりした事も多々ある。こちらの事情が変化したり、相手の事情であったりと理由はイロイロであるものの、それでもかつてその人の作品が虫けらの中に大きな爪痕を残した事は間違いない。その事は動かしようのない事実であり、敬意と感謝は忘れない。ファンってそういうもんじゃないのか。

　漫画家の浦沢直樹氏が安倍首相を揶揄する絵を公開した事で炎上しているらしい。安倍首相の支持者には「アベノマスク」がお気に召さなかった模様。叩いている者の中にはこういう声がちらほら見られる。

「ファンだったのに悲しい」

「ファンをやめました」

　この程度でやめる者がファンを自称するなどおこがましいとは思わんのかね。まあ、どうせ嘘なのだろうが。政治的信条の違いで誰かを嫌いになっても別に構わないのだが、政治的信条程度の事で嫌いになれる相手など、最初から好きな訳がない。元よりたいして好きではなかったから、その程度で嫌いになれるのだ。

　要はファンをやめる、と言えば相手が傷つくと思ってやっているだけの、陰湿な言葉の暴力である。一般市民の顔をして誰かを一方的に殴るのが楽しくて仕方ないのだろう。何とも浅ましい。もちろん日本は言論の自由が認められている国なので、ファンをやめたと言うのは自由である。しかしそれを浅ましいと蔑むのも自由なのだ。良かったな、自由な国で。

　相手が政治家だから何を言っても良いとは思わないが、何も言ってはならないというのは論外と言える。安倍首相に限って言えば、病気の事で笑いものにするのは人でなしだと非難されても仕方ない。しかし政策の拙さをおちょくる事までけしからんというのは、過保護にも程がある。首相擁護派の口から「総理が可哀想」などという言葉が出て来る時点で政権のレベルが知れる。正直、おちょくられて当然という気しかしない。

　なお余談ながら、虫けらは浦沢直樹氏のファンではない。彼の作品は『ＹＡＷＡＲＡ！』くらいしか知らないし、それもアニメをちらっと見た事がある程度だ。あ、『ＰＬＵＴＯ』は確か買ったな。もう手放したが。虫けらに合う物語を書く人ではないようなので、ファンになる理由はないのである。

　富士フイルムホールディングスの子会社が開発した『アビガン』は、元々新型インフルエンザの治療薬として開発された物らしい。しかしその特性からインフルエンザ以外のウイルス性疾患にも効果を示し、たとえばエボラ出血熱でも治療効果を上げているという。これが新型コロナウイルスにも効くという臨床データがあり、海外から日本に引き合いが来ていた。

　３日、日本政府はこのアビガンを希望する国に無償供与する事を表明した。供与を希望する国は約３０カ国に上るという。

　これは正しい判断ではないか。世界中でアビガンが使用されればそれだけ多くの臨床データが集まるし、後継薬の開発にも生かされるだろう。そもそも、新型コロナウイルスは国境を越えて広がっている。たとえば仮にこのアビガンで日本の患者が全員治療できたとしても、海外で患者が増え続けていては、結局また日本に入ってくるのは間違いない。日本の安全を考えるのであれば、世界中の患者を治療し尽くさねばならないのだ。

　この件でも日本政府を叩く声があるというのは解せない。「金を取るべきではないのか」「日本人に使う事を優先すべきではないのか」といったコメントを目にする事もあるが、新型コロナウイルスは全人類的な問題であり、全人類的に対処せねばならないのは明白であろう。虫けらは安倍政権は嫌いだが、この件に関しては褒めるべきだと思う次第。

　在日アメリカ大使館は３日ウェブサイトで、無期限で日本に滞在するつもりのないアメリカ国民で帰国を希望する者は、今すぐ準備するよう呼びかけた。これはここ数日、日本国内の新型コロナウイルス患者が増加している事を受けてのもので、

「日本政府が広範囲に検査を行わないと判断しているため、どれだけ感染が広まっているか正確に把握することが難しい」

「今のところ、日本の医療システムは信頼できるが、感染が広がると、数週間後、機能するか予測が難しい」（以上ＮＨＫ）

　とあるそうだ。まあ、そう言われても仕方ないわな。「１日９０００件の検査が可能」とか言われても、統計を出せるだけの検査もしていないのだから、外国から見れば危険に思えるだろう。来年のオリンピック――開催できれば、の話だが――でも、その点は懸念を持たれるのではないか。外国人観光客もしばらく寄りつかないかも知れない。中国人は来るかも知れないけどな。

　そのアメリカは、いま世界中でマスクを買いあさっているそうだ。相場の何倍もの金を払って、場合によってはすでに購入先が決まっている空港の荷物にまで手を出して横取りしているらしい。まあ医療用マスクが不足しているらしいし、必死なのかも知れないが、アメリカ・ファーストとは言え、いささかやり過ぎではないか。

　マスクといえば、アメリカ政府は３Ｍに対して国防生産法に基づきマスクを生産するよう命じるという話もあったが、トランプ大統領が３Ｍを非難したという報道もある。これに３Ｍ側は反論しているものの、詳細は不明である。しばらくアメリカはマスク絡みでイロイロあるのかも知れない。

　本日はこんなところで。外出を自粛する事には何のストレスもないのだが、外出をするときにマスクがないのはイロイロな意味でストレスになる。早く届かないものかねえ。

　昨日は５００字ほどしか書けなかった。そんな日もある。何とか前に進もう。頑張れ頑張れ。