第116話 2020/2/7 付喪神とか

 本日は何とか7時起き。さぶいさぶいさぶい。キッツいなあもう。

 ミステリーを一応最後まで書き終わった。しかし7万5000字ちょっとである。短すぎる。賞の応募にはあと4000字ほど足りない。もう少し膨らませねばならない。イロイロ考えて10万字近くにはしてみようと思う。


 人の作った道具なども、長年使い続けると魂を持つようになると言われ、その魂を獲得した器物を付喪神つくもがみと呼ぶ。付喪神という言葉は付藻髪に由来するという話がある。水中に長い間ある岩や石には藻が髪の毛のように生える。これが付藻髪であり、ここから転じて長い間使われていた器物に宿る魂を、付喪神(あるいは九十九神)と呼ぶようになったのだそうな。

 「つくもがみ」という言葉が現れたもっとも古い記録は、鎌倉時代に書かれた伊勢物語の古注書『伊勢物語抄』であるとされている。ただし、このつくもがみは狐狸の化け物である。妖怪化した器物が付喪神と呼ばれるのは、室町時代の絵巻物『付喪神絵巻』かららしい。もちろん、絵巻物が書かれた時点で付喪神の名は世間に知られていただろうから、広まったのはもっと古い時代と考えられる。

 付喪神思想の源流はアニミズムであるのは間違いなかろう。自然物にも人工物にもアニマが宿るという考え方だ。一節によれば、付喪神的な考え方が生まれたのは、平安時代に訪れた大量消費文化への反動であるとも言われる。付喪神という言葉は中世に広く使われたが、近世に入ると衰退したようだ。

 さて話は変わって現代、先月の22日のこと。アメリカのバージニア州に住む67歳の男性が、フロリダ州の南部にあるエバーグレーズの湿地帯へ、7日間の予定でカヤック旅行に出発した。しかし、その後消息を絶ってしまった。

 今月2日になって湿地帯の北西側、モンロー郡との境界線近くの河岸に、財布や携帯電話を含む男性の所有物が漂着しているのをエバーグレーズ国立公園の管理担当者が発見し、保安官事務所に届け出た。調べたところ、携帯電話から先月31日の接続記録がある座標データが見つかり、ただちに航空機による捜索場所の絞り込みを開始した。

 そして3日の正午直前、ついに上空から男性を見つけ、水上の捜索班に連絡した。男性の居場所は携帯電話が漂着した場所から数マイル(1マイルは約1.6キロ)離れていたそうで、救命胴衣を身に着け、川に仰向けの状態で浮かんでいたらしい。男性は2日間水に浸かっており、低体温症にかかってはいたが、容体は安定しているそうだ。

 オカルト好きの視点からすれば、これは携帯電話の付喪神的な存在が男性を救ったのではないかと考えられなくもない。しかしそういう視点を抜きにしても、現代の携帯電話の位置情報だの移動記録だのというのは、ある意味形を変えた付喪神なのであろう。人類は道具をあまり好き勝手に扱って、怒りを買わないようにした方が良い。付喪神の伝説は、人間は謙虚であるべきと訴えているのやも知れない。


 5日、ドイツのテューリンゲン州議会において、州首相選挙の決選投票が行われ、自由民主党のトマス・ケメリヒ氏が当選した。しかし、ケメリヒ氏は6日辞任を発表、解散総選挙の実施を呼びかけた。

 何故こんな事態になったのかと言えば、ケメリヒ氏が当選できたのは、極右政党『ドイツのための選択肢(AfD)』が彼の支持に回ったからだ。これは1930年代のナチス台頭を彷彿とさせると批判が巻き起こり、メルケル首相はこの選挙結果を激しく非難した。

 だが疑問がある。市民が拒絶反応を示し、国家の首相が非難するような選挙結果が、何故州議会において生まれたのか。国家総出で叩くような非常事態が、何故通常の手続きにおいて可能だったのか。それはドイツの選挙制度が間違っているのではないか。もし選挙制度に間違いがないのなら、それはドイツの民主主義がおかしいという事であり、もし民主主義が正常ならドイツ国民が狂っているという事ではないか。けれど、もしドイツ国民が狂っていないというのなら、この選挙結果は正しいものだという事になる。

 ドイツは間接民主主義の国であろう。国民が選挙で選んだ代表者が、議会において正当な手続きの元に選出した州の首相を、選挙を経ないで引きずり下ろすというのは正しい在り方なのだろうか。まあ、どうせ余所の国の事であるし、そもそも民主主義などこの程度のもの、と言ってしまえば終わりなのかも知れないが。


 イギリスの公共放送BBCは受信料によって運営されているが、これを支払わないと刑事罰を科されるのだそうだ。ちなみに日本ではNHKに民事訴訟を起こされるが、受信料不払いに刑事罰はない。

 さてこの受信料不払いに対する刑事罰を取りやめる、つまり刑事訴追の対象から外す計画をボリス・ジョンソン政権は立てているそうで、5日からパブリックコメントの募集を開始した模様。

 政権側はBBCは政治的に偏向していると考えており、今回の計画は締め付けの一環であると見られる。この計画が実行されれば、2億ポンド(約290億円)の減収になるとBBCは見込んでいるらしい。

 まあ公共放送の存在意義や妥当性は、日本も考えねばならん事である。虫けらはNHKは必要だとは思うが、いまの規模のNHKが必要とは思えない。現在の高い受信料は完全に無駄金・死に金であろう。政府が締め付ける事の是非はまた別の話としてあろうとは思うものの、イギリスの方向性は理解出来なくはない。この先どうなるのか、注目しておきたい。


 今日は短いがこんなところで。時間はあっても頭が回らない。寒い。

 さて、ミステリーはこれから膨らませて、ブラッシュアップして、また肉付けしてからさらに削って、の繰り返しである。できれば夏までには何とかしたいところ。まあ、たぶん大丈夫だろう。何とかなると思っていたら何とかなるさ。そんなもんだ。

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