第64話 2019/12/17 レバノンとか

 本日は9時半起き。まあ昨日は疲れたからな、仕方ない。疲れると言えば、来週からは小鳥の宿の年末年始が始まる。またヘトヘトになるのだろうな、とは思うが、生きて行くために金は必要なのだ。何とか頑張って乗り切ろう。


 基本的に中東方面はややこしいのが定番だが、中でもレバノンは非情にややこしい。専門知識のない虫けらには、理解の及ばぬ世界である。レバノンは95%がアラブ人であるので、ほぼ単一民族国家と言えなくもない。なのにその政治は、複雑怪奇極まりない。

 レバノンは多宗教国家である。大半はイスラム教徒とキリスト教徒なのだが、それぞれ各宗派に別れて合計18の宗派があるという。もちろん、日本だって多宗教国家である。日本にある各宗派を合わせれば、18どころの騒ぎではない。しかし日本と違ってレバノンでは、その18の宗派に政治的権力が振り分けられているのだ。

 まず議会の定数は128。そのうち64議席をキリスト教徒、同じく64議席をイスラム教徒と、同数になるように議席が配分されている。つまり選挙でどの政党が勝利しようと、たとえばイスラム教徒が議会の圧倒的多数を獲得する事はないのだ。

 そしてユニークなことに、各宗派によって権力ポストが固定されている。たとえば大統領はキリスト教マロン派、首相はイスラム教スンニ派、国会議長はイスラム教シーア派から選出される事になっている。選挙で大勝した宗派がポストを独占したりはできない。ならば当然、権力闘争は各宗教・宗派の内部闘争となる。外から報道を通じて眺めているだけでは、この内部の争いが見えない。なのでさっぱりわからない。

 しかも、これは言わばレバノンの基本情報である。実際にはこれらの宗派がさらに「親シリア・イラン派」と「親サウジ派」に別れている。たとえばレバノンの過激派組織として有名なイスラム教シーア派のヒズボラには政治組織もあるのだが、これは当然親シリア・イラン派である。そしてイスラム教スンニ派から選出されている現職のハリリ首相は親サウジ派なのだ。

 さて、そのハリリ首相だが、今年10月29日に辞意を表明している。政治汚職などへの対策が不足しているとして全国規模で発生した反ハリリ抗議デモを受けての対応であったが、まあ普通に考えてヒズボラが動いていないはずはない。

 後任の新首相を決める議会協議は今月9日に開催される予定だった。しかし16日、大統領府は「(辞任する)サード・ハリリ首相の意向に従い、議会協議を12月19日木曜日まで延期する」(AFP)と発表した。主要キリスト教連合の参加が全くないまま指名が行われる事態を避けるため、と暫定首相府は説明したとのことだが、どうもこのままハリリ氏が再任されるのではないかとの憶測が現地では流れているらしく、今週に入ってデモが再び激化の傾向を見せているようだ。

 ただこれはハリリ氏を擁護する訳ではないのだが、この複雑な政治体制の下では、後任の首相を選び出すのはそう簡単ではあるまい。いかにスンニ派から選出されるとは言え、スンニ派だけが了承すれば首相になれるほど単純ではないのだろう。各宗派の思惑に配慮しながら後任を探さねばならない。普通の国のように首相になりたい者がゴロゴロ転がっている訳ではないのかも知れないな、と思うところ。


 インドネシアとエチオピアで墜落した事で有名な737MAX8型機を製造しているボーイング社であるが、来月からその製造を一時停止すると16日に発表した。737MAX8型機は今年3月から世界中で運行停止となっているものの、ボーイング社は月産40機以上のペースで製造を続け、およそ400機の在庫が航空会社に引き渡されないまま保管されているという。

 今月11日にFAA(アメリカ連邦航空局)のトップが「運航の再開時期は決まっていない」(NHK)とアメリカ下院議会で証言した事などが製造停止の要因となったようだ。

 今回の製造停止で従業員の一時帰休などは行われないとのこと。ただし部品を作る世界中のサプライヤーには大きな影響が見込まれる。

 とは言え、飛ばせない機体を造り続けろというのも無茶な話だしな。まあ、ボーイングの経営陣を恨むしかないのではないか。


 飛行機関連で1つ。オーストラリアのカンタス航空のエアバスA330―200型機が14日、シドニーを出発して30分後にUターンする事案があったそうだ。何でも機内に煙が充満したとのこと。ただし火災ではなく、油圧系統のオイルがエアコン装置に入り込んだ事が原因と見られている。

 着陸後緊急用スライドが展開され、乗客は機長の指示で脱出、1人が軽いケガで病院に運ばれたという。

 世に完璧な機械という物はないのだろうし、たまにはこういうトラブルが起こるのも仕方ないのかも知れないが、虫けらは飛行機に縁のない生活をしていて良かったと思わされる瞬間である。


 NHKは中国が大好きである。今朝も『中国“改革開放”を支えた日本人』という番組をBSで放送していた。中国の成長に関わった日本人の話を美談として描いた番組であるが、日本がその改革開放を支えた結果、いま世界で何が起きているのか理解しているのか。アフリカや南沙諸島や西アジアで起きている様々な問題は、日本の責任でもあるという事なのだが。

 15日にアメリカの新聞ニューヨーク・タイムズが報じたところによれば、今年9月に中国の大使館員2人がそれぞれの妻と共に車に乗り、バージニア州ノーフォークの基地に入ろうとした。しかし彼らは立ち入り許可を得ていなかったので、一旦ゲートを通ってからUターンして出て行くように警備員に告げられたのだが、それを無視して基地内を走り続け、消防車に行く手を遮られてようやく止まったのだそうな。

 2人の大使館員は、警備員の英語が理解できずに道に迷ったと釈明したらしい。だがアメリカの当局者はこれを否定している。結局2人は国外追放とされた。こんなフィクションのような事件を起こせる神経は凄いと思うが、これも歪んだ大国意識のなせる業かもしれない。将来、日本人は責任を取れとアメリカから言われたりしない事を祈るばかり。


 昨日は2作品で4000文字ほど書けた。よく頑張りました。さて、今日はどれくらい書けるだろう。ミステリーはまだ2万文字行ってないんだよなあ。もうちょっとペースを上げたいのだけれど、なかなか思うようには行かない。とにかく頑張ろう。

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